第485話 【獣人国の対応・2】
役割を決めた後、俺達は姫様に連絡を待ってますと伝えて、一旦レイ達を拠点へと送り届けた。
そして拠点から再び転移魔法で、ハンゾウの店にやってきた。
「そろそろ来る頃だと思った。獣人国についての情報だろ?」
「流石、情報が早いな。その感じだと、前から獣人国の情報は集めていたのか?」
「あっちの大陸にも俺の部下は居るからな、定期的に情報は集めていたんだが、その部下から突然獣人国が慌ただしくなったって連絡が来てな。それで詳しく調べたら、ジンの仲間の一人に王家の関係者が居て俺もその情報が来た時は驚いたよ」
ハンゾウはそう言いながら、棚から資料の束を取り出して机の上に置いた。
俺はその情報に見合う金を払い、資料の束に目を通した。
「……クロムさんが英雄になった頃の情報もあるのか」
「向こうの大陸では有名な話らしいぞ、俺もクロエの父親とその英雄が同一人物だと知った時は驚いた」
「ああ、俺も話で軽く聞いたけど、まさかここまでの英雄とはな……」
資料に書かれていたクロムさんが英雄となった話。
獣人国が統一国家として誕生する前、最後の戦いの話がそこには書かれていた。
「一人で数千の獣人を相手にって、クロムさんそんなに強かったのか……」
「その時の戦いを部下の奴が直接見た事があるらしいが、クロエの父親の戦いは凄まじかったって言ってた」
「そうなのか。今のクロムさんからは想像が出来ないな……」
今のクロムさんはどちらかと言うと、普通な親みたいな印象だ。
だけどこの資料をみた感じだと、向こうでは相当凄い人として認知されているようだ。
「まあ、でも何となく理解したよ。ここまで凄い人だったら、国王になってほしいって思う人も多いだろうな……」
「だろうな。それに元々、人望もあった人みたいだから余計にだろう」
「……本当にどうやって、説得すればいいのか分からないな」
資料を見てクロムさんがどれだけ、獣人国から必要とされているのか理解した。
その上で俺はどうやって、説得すればいいのか案が全く浮かばない。
「ジンは毎回大変な事に首を突っ込んでるよな……前回は、聖国で今回は獣人国か」
「好きで絡んでは無いんだけどな……まあ、今回に関してはクロエ関係って事で最初から関わるつもりだったけど」
「だとしてもだろ? お前、そういう星の元に生まれたんじゃないか? 騒ぎの元になるみたいな」
「……言い返せないのが悔しいな」
ハンゾウの言葉に俺は、言い返す事が出来なかった。
その後、ハンゾウには引き続き獣人国の情報収集を頼み、俺は拠点へと移動した。
拠点に移動してきた俺は、裏庭で訓練をしてるレイに声を掛け、一緒に訓練をする事にした。
「ジン君、ハンゾウさんの所で情報を貰って来たんだよね? どうだった?」
「まあ、凄い内容ではあったよ。後で、また皆に伝えるけどクロムさんって軽く話してくれてたけど、あれ以上に凄い人だった」
「そうなの!? でも、そうだよね。だって、クロエちゃんって今はレベルも上がって強いって分かるけど、冒険者始めた時から実力高かったもんね。クロエちゃんのお父さんなら、そりゃ強いに決まってるよね」
「ああ、俺も強い事は知ってたけど、自分の予想を遥かに超えた存在だった。もしかしたら、クロムさんは自分の力を抑える魔道具とかを使ってるのかも知れないな」
今まで、特に気にしてなかったクロムさんの実力だが、もしかしたら俺達以上の強さを秘めてる可能性が出てきている。
100レベルを超えて喜んでいたけど、あの資料が本当ならクロムさんは余裕で100レベルを超えた存在かも知れない。
「……そんな話を聞いたら、今回の騒動が終わったら一度クロムさんと戦って見たくなってきちゃった。対戦を申し込んだら戦ってくれるかな?」
「難しいと思うけど、頼み込めばクロムさんなら相手になってくれるかもな」
俺の言葉にレイは目を輝かせて、「その時はクロエちゃんにも手伝ってもらおう」と言った。
それから日が暮れるまで、俺とレイは模擬戦闘を行った。
その後、拠点の風呂で汗を流し、拠点で夕食を食べた俺達は今日は宿には帰らず拠点で過ごす事にした。
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