第476話 【ジンVS勇者・4】
最終試合が終わると、直ぐに表彰式が始まった。
表彰されるのは優勝者だけらしく、俺は竜人国の国王からお祝いの言葉と優勝商品を受け取った。
優勝商品は二つあり、一つは金貨100枚とかなりの大金。
そして二つ目は、竜人国に伝わる伝統的なネックレスに最高級の宝石を使った物を受け取った。
見た感じ金額で言えば相当な物だし、これ程の物となると製作期間も相当な物だから金よりも価値が高いかも知れない。
「綺麗なネックレスだよね」
「まあ、俺には似合わないけどな……」
「こういっちゃうとジン君に失礼だけど、ジン君には似合わない作りだね」
優勝商品を受け取った後、俺はクロエ達と合流してレイが待ってる部屋に移動していた。
その際、受け取ったネックレスをクロエ達に見せながら俺は自分には合わないだろうという話をした。
「綺麗だし、観賞用としても良さそうだし、拠点にでも飾っておこうかな? 正直、あれを付けた自分の姿を想像出来ないし」
「貰ったのはジン君だし、ジン君の好きな用に使ったらいいと思うよ」
そう話していると、レイの待つ部屋に戻って来たので俺達は部屋に入り、レイと合流をした。
合流後、大会が終わった事で夜の部の祭りが始まったらしく、外では沢山の屋台が並んでいるとルークさん達に教えて貰った。
「へ~、屋台か。大会に出て腹も減ったし、皆で見に行くか?」
そうクロエ達に聞いていると、姫様が俺達の方に近づいて来て「ジン、ちょっと待って」と呼び止められた。
「ジン達には悪いんだけど、パーティーの方に出てもらえないかしら?」
「……またですか? 俺、貴族とかが出てるパーティーって苦手だって姫様も知ってるでしょ?」
「それは知ってるわ。でも、優勝したジンが居ないとパーティーも盛り上がらないって竜人国の人達も心配してるのよ。出てくれないかしら?」
そう姫様からお願いされた俺は迷っていると、部屋に仮面をつけたままの勇者がやって来て、そのまま俺達の所に挨拶に来た。
「……わかりました。なら、勇者も一緒ならいいですよ。どうせ、もう大体の人にはバレてるでしょ?」
「えっと、もしかして僕何かに巻き込まれた感じ?」
俺の言葉を聞いた勇者は俺と姫様の顔を交互に見てそう言い、俺はそんな勇者に事情を説明した。
「あ~、いやでも僕はバレてないんじゃないかな?」
事情を聞いた勇者は、自分だけでも逃げようとそう言った。
その言葉に対して姫様は首を振り、「貴方の事は、バレてるわよ」と言った。
「そもそも聖剣を出した時点で、大体の人間にはバレるって分かってて最後まで隠してたんだろ?」
「いやまあ、そうだけどさ……本当に僕の事、バレてるんですか?」
「正確に言えば、国のトップは大体察してるわよ。勇者として何度もあった事のある人達が何人もいるのよ?」
「ハハ、確かにそうですよね……」
勇者はそう言って落ち込むと、話を聞いていたルークさん達は「それって、俺達も出れますか?」と姫様に聞いた。
「ええ、本当は貴方達にも声を掛けようと思っていたのよ。どうかしら?」
「俺達はいいですよ。そっちの方がタダで飯が食べられますからね。ジン達もタダ飯が食えるって楽に考えれば、貴族のパーティーも楽だぞ?」
「ルークさん達は何度も行った事があるから、そう言えるんですよ……」
そう俺はルークさんに言うと、レンから肩をポンッと叩かれ「ジン、諦めろ。回避は難しいと思うぞ」と言われた。
その後、結局パーティーの参加を逃げられなかった俺は、正装に着替えてパーティー会場へとクロエ達と一緒にやって来た。
イリスは初めてのパーティー会場で、オロオロとしていたがクロエとレイが付いているので割と楽しんでいる様子だ。
逆に俺は、沢山の貴族に話しかけられ精神的・体力的に大会以上につかれまくった。
「……ジン君、お疲れ様。大分、話しかけられてたね」
「勇者もな……というか、良かったのか? 結局、素顔を晒してるけど」
「うん。隠してたのは、大勢の観客にバレない為だったからね。それにノラも久しぶりにご馳走が食べれるって聞いて、嬉しそうにしていたから良かったよ」
勇者は、クロエ達と楽しそうに食事をしてる仲間の事を見ながらそう言った。
それから俺達は少しだけ休憩をしていると、再び貴族達から話しかけられたのでそれらの対応をした。
俺は心の底から、早く終わってくれと願うが、その願いは叶う事は無く。
パーティーは日を跨いで続き、終わった頃には俺の体力は限界を超えていた。
俺は宿に戻ると、普段では絶対に入る風呂にも入る事が出来ず、体力が切れてベッドに横になると直ぐに眠りについた。
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