第463話 【仲間の戦い・3】
その後、クロエは疲れてるからと言って少しだけ寝る事にした。
試合が盛り上がっても、俺達は声を抑えめにして試合を観戦して、なるべくクロエの睡眠の邪魔をしないようにした。
「次は私の試合だね。皆、見ててね」
「頑張ってください。レイお姉さま」
「頑張れよ。レイ」
「頑張ってね。レイちゃん」
試合は進みレイの試合となると、寝ていたクロエも起きてレイが試合に行くのを一緒に見送った。
少しして会場の方にレイと、対戦相手であるルークさんが出て来た。
「レイお姉さまは基本的な戦いは戦斧での前衛ですけど、ルークさんってどんな戦い方なんですか?」
「そうだな……まあ、言ってしまえば普通の剣士の前衛タイプだな、ルークさんはそこまで魔法を得意とした戦い方はせず、剣と盾を上手く使った戦い方だな」
ルークさんは俺やイリスとは違い、剣と盾を使うスタイルで前線を張るタイプの人だ。
その為、ある程度の強力な技も耐えられるし、瞬発力も以前競った時があり、かなり足が速かった。
「どっちも同じ前衛タイプだが、かなり違うからこの戦いは面白い事になりそうだな」
そう思いながら会場を見てると、丁度試合が始まった。
試合開始早々、両者共に動き出した。
「——ッ!」
互いの武器がぶつかり合うと、その衝撃が会場中に伝わり建物が揺れた。
「……こんな頻繁に建物揺れてるけど、この建物大丈夫か?」
「それは薄々私も感じてました。でも、造り自体は凄く良いですし、大丈夫じゃないんですか?」
「まあ、建築の技術力のある竜人国が造った建物だし、そう簡単には壊れないだろうけど……」
そう建物の心配をしていると、レイとルークさんの戦いは激しい攻防戦となっていた。
大きい戦斧を扱うレイに対し、ルークさんは片手剣と盾を上手く使い戦っている。
この今の状況を見る感じだと、少しルークさんの方が優勢の様に見える。
「流石、白金級冒険者だよな……動きがそこらの冒険者とまるで違う」
ルークさんのちゃんとした戦いは最近は見た事が無かったが、昔よりも更に動きに磨きがかかっている。
「ルークさんとは訓練でお世話になった事がありますけど、あんなに強かったんですね。知りませんでした」
「白金級冒険者で、俺達が金級冒険者になる以前からずっと金級冒険者として活動してた人達だからな、俺達みたいに強さでパッと上がって来たとは違って、実績も沢山あるんだ」
「ルークさん達の場合、パーティーを組んでからかなり経ってて連携力も凄く良くて、一人一人が強いのに4人が揃うともっと強くなるんだよ。私達の連携力よりも凄くて、憧れの存在だよね」
「それはそうだな、俺達の場合偶に前衛に行ったり後衛に行ったりと場所の交代が頻繁に起こって連携力を上げるのに時間が掛ってるけど、ルークさん達はずっと同じ場所で固定してるからな」
パーティーの前衛と後衛の数も一緒だから、組み合わせとしても最高に良い。
なんだかんだ先輩冒険者で尊敬してる人と言えば、ルークさん達だなと改めてそう思った。
そう俺達が話していると、レイとルークさんの戦いは激しさを増しており、レイは既に【怪力】を使用していた。
「以前から凄いとは思ってたけど、レイの【怪力】が合わさった攻撃を回避するって本当にルークさんは凄いな……」
【怪力】は力を上げる能力だが、力が上がる事で武器を振り下ろす速度も上がっている。
なので普通に避けようと思っても、そう簡単には避けられない筈だ。
「レイお姉さま、勝てますよね?」
「……断言は出来ないな、レベルだけで言えばルークさんよりは上かも知れんが経験が圧倒的にルークさんの方が上だからな」
レイが勝てるか心配に思ってるイリスに対し、俺は本当に思っている事を口にして戦いを見守った。
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