第458話 【本選・2】
両激しい攻防が続く中、二人は疲れを一切見せずただ楽しそうに戦っている。
「ルルさんもイリスちゃんも本当に良い動きだよね~」
「うん。それに二人共近接戦闘を得意としてる二人だから、観戦の見応えも凄くあるよね。お客さんも物凄く興奮してるもんね」
クロエの言葉通り、会場の観戦席が盛り上がってる事がここからでも分かるほどに盛り上がっている。
観戦してる人達は二人の戦いを応援して、それに答えるかのようにイリス達の動きは普段よりもいい感じだ。
「見世物になるのは最初ちょっと遠慮したいなって思ってたけど、ここまで応援される空間なら参加して良かったな。こんな体験、滅多に出来ないからな」
「そうだよね。私も最初は見世物になるのかって思ったけど、凄く楽しそうだったからいいやって思って参加する事にしたけど、こんな大勢に応援してもらえるなら参加するだけでも価値があるよね」
俺の言葉にクロエも反応して、そう話しているとイリスとルル姉の試合展開が動き出そうとしていた。
ついさっきまで接近戦で激しい攻防を繰り広げていたイリス達だったが、イリスがルル姉と距離を取り、ある構えをした。
「イリスちゃん、もしかしてあの技使うのかな?」
この一カ月間、イリスは刀を扱うようになりそこから更に〝二刀流〟へと変化した。
その際、一刀流でも扱えていた〝竜刀流〟を扱っていたが、二刀流スタイルで自分だけの新しい技を編み出そうと頑張っていた。
勿論、俺もその訓練には付き合い意見も出して、形までは持って行けたが……。
「あの技、まだ完成しきれてないが使う気みたいだな……まあ、この歓声の中で大技を決めたいってイリスが思ったんだろう。挑戦するのは良い事だが、失敗したら負けが確定するかもしれないが……」
「あれ、練習でも中々成功してないもんね……でも、イリスちゃんがやりたいって思ってやるんなら、それで負けたとしても私は良いと思うな」
「イリスちゃんなら絶対に成功するよ! イリスちゃん、頑張れ~!」
俺とクロエの言葉にレイはそう言うと、イリスに対して応援の言葉を送った。
そしてイリスは俺達が予想していた通り、二刀流オリジナル技を繰り出した。
姿勢を落とし、二振りの刀に魔力を通したイリスは尋常じゃない速度でルル姉に襲い掛かった。
「——!」
一撃目、ルル姉はイリスの刀を受け止めた。
刀を受け止められたイリスは、一瞬で距離を取り再びルル姉に襲い掛かった。
あの技は何度も攻撃を与える技で、体力と魔力を大量に使う。
ただしその威力は凄まじく、一撃目以降から徐々に威力が上がっていき、練習中は最大七撃目まで俺は食らった事がある。
その威力は凄まじく、俺も少し真面目に防御しないと耐える事は難しかった。
「三撃目まで耐えられたか、ここからが正念場だぞイリス」
七撃目まで繰り出せたが、訓練中は基本的にここから失敗する事が多かった。
しかし、俺達の心配を他所にイリスは四撃目を繰り出したが、その攻撃もルル姉もかなり魔力を消費して、ギリギリ耐える事が出来た。
「「あっ」」
ルル姉が耐え、五撃目の為に距離を取ったイリスは体のバランスを崩れそうになった。
その光景を見ていた俺達は、ここまでか……と心配に思っていると、イリスは根性で踏ん張って見せた
そして溜めからの五撃目を繰り出したイリスの攻撃は、遂にルル姉を場外に吹き飛ばした。
ルル姉が場外に出されたことで、この試合はイリスの勝利となった。
「——!」
イリスの勝利が分かると、会場中から歓声が巻き起こった。
その歓声を受けてるイリスは笑顔を見せ、「ありがとうございます」と客席に向かってお辞儀をして、待機室へと戻って来た。
「お兄さま、お姉さま! 私、勝ちまし——」
「っと、危ない」
待機室に戻って来たイリスは、俺達に勝利の報告をしようとした瞬間、体力の限界を迎えて気絶してしまった。
俺はそんなイリスをギリギリで支え、そのままソファーに寝かせた。
「クロエ、これをイリスに飲ませておいてくれるか?」
イリスをソファーに寝かせた後、会場の準備が出来たら俺の出番だから用意の為に移動しない行けない為、回復薬をクロエに渡して部屋を出た。
「イリスが凄く良い試合をしたし、俺も頑張らないとな」
弟子の戦いを見て、力が漲ってる俺はワクワクとしながら準備用の部屋に向かった。
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