第438話 【正式加入・2】


 王都に戻ってきた翌日、早速姫様からの呼び出しがあり、朝食を食べた後に一人で姫様の所へとやって来た。


「思っていたよりも、戻ってくるのが早かったわね」


「はい。イリスの成長がかなり早く、採取もレンが早々に満足したので戻ってきました」


「へ~、イリスちゃんの成長はかなり早いみたいね。ジンから見て、どこまで強くなれそうなの?」


 姫様からの質問に対し、俺は少しだけ考え込み返答した。


「12歳という若さであそこまでの力を持ってますから、今後の成長次第ですが俺に並ぶ強さになるかも知れませんね」


「ジンがそこまで言うって事は、相当期待しているのね」


「はい。俺達の一番弟子ですから」


 その後、姫様に俺は迷宮探索の話をしていると、姫様の部屋に誰かがやって来た。

 姫様はそのノックに応じて、部屋に居れると入って来たのはユリウスだった。

 ユリウスは部屋に入ってくると、俺に軽く挨拶をして姫様に資料を手渡した。


「ありがとう。ユリウス、後で見ておくわね」


 姫様はそう言うと、資料をテーブルに置くとユリウスは「ジン君、またね」と言って急ぎ足で部屋から出て行った。

 いつもならゆっくりしてるはずなのに、あのユリウスが急いでるって事は何かあったのか?


「姫様、何かあったんですか?」


「そこまで大事な事じゃないわ。元神聖国の土地を竜人国が治める事になったでしょ? それ関連の事よ。ジン達が関わらなくなった後も、色々と進んでるのよ」


「あ~、そう言えば少し前にリュドラさんの所に行った時も忙しそうにしてましたね」


「ジン繋がりで竜人国とは仲良くさせてもらえてるから、あっちの新しい土地でも私達の国から何か催し物が出来ないかってなってそれで色々と話が進んでるのよ」


 姫様からそう教えて貰った俺は、完成したら遊びにでも行こうかなとそう考えた。

 その後、姫様も忙しそうなので話はその辺にして、俺は姫様の部屋からハンゾウの店へと転移で移動した。


「早いお帰りだな、英雄さん」


 ハンゾウの居る部屋に入るなり、ハンゾウはそう茶化した様子でそう挨拶をしてきた。


「呼び出しておいて馬鹿にするって、本当にお前は性格が悪いな」


「軽い挨拶だろ? そう怒るなよ。ちゃんと、お前に頼まれていた事は調べておいたんだぜ?」


 そうハンゾウは言うと、テーブルの上に資料の束を置いた。

 今回、俺がハンゾウに頼んでいたのは〝遊戯神の迷宮〟についてのものだ。


「ユリウスさん達の情報は調べられないと思ってたけど、ここに載ってるって事はお前の部下はユリウスさん達に追いついたか?」


「遊んでいた奴等に活を入れさせて、死に物狂いで頑張らせたんだよ。一時期、遊戯施設に入り浸っていたから態々、俺まで入る始末になったからな……」


 ハンゾウの部下も統率が取れているとはいえ、あの迷宮の遊びには負けてしまったのか……。


「ジン達はハマってないんだろ?」


「ああ、元々ああいうのはやってこなかったからな、あそこで遊ぶ位なら迷宮で探索していた方がまだマシだからな」


「……俺としては逆にそれが心配だな、ジン達は歳の割に遊びを知らないだろ?」


 俺自信、そこまで興味が無いのもあるが、パーティー全員がそういうのに興味が無い為、俺達はあまり遊びを知らない。


「知識としては知ってるけど、実際にやった事は無いな。それに歳の割にって言うけど、俺はまだ15歳だからな?」


「普通のその歳の奴等は、遊んでる奴の方が多いぞ? まあ、ジン達みたいに例外もいるけどな」


「まあ、興味が湧いたらいずれ行くと思うよ。今は、迷宮探索とかの方が楽しいからな」


 そう言った後、俺は資料を【異空間ボックス】に入れて宿に戻って来た。

 宿に戻ってきた俺は、用事は全部終わらせたので夕食までハンゾウの所で受け取った資料に目を通す事にした。

 資料には大体の冒険者の踏破階数が書かれており、ユリウス達は大体90層を超えたあたりにいるみたいだ。

 多分、竜人国絡みでユリウスも足止めされてるから、それで階数が進んでないのだろう。


「俺達が居ない間に抜かれるかもって不安に思ってたけど、抜かれてなくて良かった……」


 トップの座を譲りたくないなと思っていた俺は、この資料の情報を見てそう思った。

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