第435話 【イリスと迷宮・2】
その後、中層辺りまで迷宮を進み丁度、休憩部屋に入れたのでそこで今日は休む事にした。
「久しぶりにこいつを使うな」
休憩部屋には俺達以外に人は居なかったので、もし人が来ても邪魔にならないように端の方で〝小部屋〟を取り出した。
小部屋を初めてみるイリスは、その場に直ぐに出て来た小さな家を見て驚いていた。
「こんなお家が直ぐに出来るって、この魔道具凄すぎませんか?」
「昔から重宝してる魔道具の一つだよ。イリスも気になるなら、この間紹介したシンシアの店で買う事が出来るぞ」
「……流石にこんな凄い魔道具を買える程、お金は溜まってませんので今は諦めます」
イリスはそう言うと、それぞれ男女に部屋を別れ装備から部屋着に着替えて、夕食の準備を始めた。
夕食は皆で準備をして、一緒に食べ始めた。
「イリス。今日一日一緒に迷宮探索してみて、どうだった?」
「はい。自分では強くなってきてると実感してましたが、お兄さま達と一緒に戦って自分はまだ強くないんだなと感じました」
「イリスちゃんはその歳にしては、十分強いと思うよ。だから自分を下に見るのはやめた方が良いよ」
イリスの言葉に対して、即座にクロエがそう言うと優しくイリスの頭を撫でた。
「クロエの言葉通り、俺達との差を感じるのは仕方ないけどそれで自分を下に見るのはやめるべきだな、イリスは強い。そこは自信を持った方がいい」
「それに手先も器用だったからな、俺としてはジン以外にも採取が出来る人間が加わった事は凄く助かったよ」
俺とレンがそう言うと、イリスは目をウルウルとさせて「ありがとうございます」と少し涙を流しながらそう言った。
「イリスちゃんの次の課題は、自分に自信を持つことだね。もし私達の仲間になったら、自信が無いイリスちゃんを前に出すのはジン君だったら渋るよ」
「はい! これからは自分に自信を持つように頑張ります!」
レイの言葉に涙を拭いて、元気よくそうイリスは宣言した。
そしてそんなイリスに俺は、今日一日でステータスがどれだけ変わったか見せてくれと頼み、イリスのステータスを確認する事にした。
✤
名 前:イリス
年 齢:13
種 族:ヒューマン
身 分:平民
性 別:女
属 性:火・水・土
レベル:47
筋 力:1914
魔 力:1747
運 :96
スキル:【剣術:2】 【身体強化:3】 【火属性魔法:3】
【水属性魔法:2】【土属性魔法:2】【信仰心:3】
【魔力探知:3】 【体術:2】 【瞑想:2】
【集中:3】 【刀術:3】 【直感:2】
【警戒心:2】 【魔力強化:2】
固 有:【運命のサイコロ】
能 力
称 号:加護持ち 豪運の持ち主 鉄級冒険者
英雄の弟子 稀代の錬金術師の助手
加 護:運命神の加護 武神の加護
✤
「あれだけ強敵と戦っていたら、これだけ上がるのか……それにしても、凄まじいレベルの上がり方だな」
「私達でも50近くに上がるのに、かなり時間が掛ったけどイリスちゃんはまだ13歳でこのステータスだよね? 凄いね。イリスちゃん」
イリスのステータスを見た俺達は、まず最初に目に入ったのはイリスのレベルだった。
「お兄さま達のおかげですよ。一緒に迷宮探索をしてくれてるので、安心して戦えてますから」
「だとしても、この上がり方はイリスの努力あってこそだと思うぞ。よく戦ってるなと、後ろから見てたけどかなり頑張ってたみたいだな」
そうイリスを褒めると、イリスは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「スキルの方も大分、良い感じに上がって来てるみたいだけど、魔法はあまり使って無かったから、スキルレベルは上がってないみたいだな」
「はい。魔法はジンお兄さまとクロエお姉さまが居たので、使う場面が無いなと思い刀での戦いに集中してました」
「まあ、今はそれでいいと思うよ。接近戦は、まだ強敵と戦える内に経験しておいた方が良いからな」
俺のその言葉に対してイリスは「はい!」と元気よく返事をして、それからも俺達はイリスのステータスを見ながら色々と話をした。
そうして一時間程話し込んでいると、イリスが眠たそうにしていたので男女別に部屋を別れ休む事にした。
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