第428話 【一緒に冒険・3】
翌日、俺達は朝食を食べた後、装備に着替えて宿の入口に集合した。
そして冒険の醍醐味として、行きは馬車で向かう事にした。
「馬車での移動なんて、久しぶりだよね」
「まあ、転移があるからな、それに最近は迷宮に籠ってるから別の所に行く事も無いからな」
ここ最近というより、俺が転移を物にしてから馬車での移動は基本しない。
偶に王城に入口から向かう時に使う位で、殆どは転移での移動だ。
「凄いですよね。移動が転移だけって、転移って相当な技術じゃないと出来ない技なんですよね?」
「まあ、空間魔法の適性があったとしても扱える人間は本当に少ないって技だからな、俺も自分のものにするのに時間は掛ったな」
だけど時間を掛けた甲斐がある程、俺は転移に助けられている。
旅の醍醐味の馬車での旅等は無くなってしまったが、それ以上に移動に取られる時間が無くなり、早く目的地に着けるのは本当に楽だ。
そうして俺達は、久しぶりの馬車での移動を楽しみながら迷宮へと向かった。
「ここが岩石山ダンジョン……ジンお兄さまとクロエお姉さまが訓練に使った場所なんですよね?」
「そうだ。出てくる魔物はゴーレムだけで、魔法の訓練相手にも普通に戦う相手としてももってこいだ。それに、ここは鉱石も沢山採れるから、最初の頃はお金稼ぎとしてもここをよく使っていた」
「ここは沢山思い出が詰まってる場所だよね~、ここで大きな金の塊を手に入れた事でリーザさんとの縁も出来たもんね」
「ああ、あれが無かったらリーザとは今の様な関係性じゃなかったかも知れないな」
クロエの言葉にそう返しながら、俺達は迷宮の奥へと進んでいった。
今回の迷宮探索での陣形は、俺とレンが後衛、クロエが中衛、レイとイリスが前衛という組み合わせだ。
ただ中衛のクロエは、殆ど前衛と変わらない位置にいる。
今回のこの陣形は、イリスの成長を見るのもあるが、クロエとレイの連携技の訓練も行うための陣形だ。
そして、男組の俺とレンはそのサポートという感じになっている。
「ジンが後ろに来る事、最近多くなったな」
「クロエとレイが連携技を編み出し始めたからな、あの二人の連携技に俺は入れないから後ろに来るのが理に適ってるからな」
「確かにな、女同士でクロエとレイはかなり連携が良いからな、ジンも辺りに合わせようと思えば合わせられそうだけど、あの二人の連携程ではなさそうだしな」
そうレンから言われた俺は「元々は後衛だったから、戻って来ただけだよ」と言って、それからも迷宮の探索を続けた。
現れる魔物は数年前から変わっておらず、ゴーレムばかりでイリスも特に苦戦する事なく戦っている。
「イリスの動き、かなり良くなってるなジンの教え方が上手いんだろうな」
「刀での戦い方に関しては確かに俺が教えてるけど、魔物との距離感とか何処で攻撃を仕掛けたらいいのかはレイが教えてるから、レイの教え方が上手いんだよ」
レイに魔物との距離感等を教わっているイリスは、普通の冒険者であれば勢い任せに攻撃を続ける所も冷静に判断して戦っている。
元々、慎重に動いて行動するタイプのイリスはレイの教えをシッカリと守っている様子だ。
「それにしても、イリスの固有能力は本当に使い勝手が良いよな」
「それは俺も見ててそう思うよ」
固有能力【運命のサイコロ】は、使用時に6面ダイスが現れ〝4以上の数値〟の場合の時、使用者の能力値を二倍にするという能力だ。
また上昇時間も出た数字で変わり、4なら15分、5なら30分、6なら一時間という感じらしい。
使用時の対価は、現在の魔力の半分を持っていかれ、クールタイムは効果が切れてから一時間とイリスは言っていた。
「3以下が出た場合は意味のないスキルだけど、イリスの口からは今まで3以下の数値を出した事が無いらしいからな」
「実際、訓練時にも使って貰っていたが三以下を見た事は無いな……流石、運が高いだけあるな」
そう俺は楽しそうに戦っているイリスを見ながらそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます