第425話 【イリスへの教え・5】
ステータスの確認後、俺は特に何か予定も無いがこのままだと寝てしまうと思い、立ち上がって部屋の外に出た。
そして宿の一階に行き、暇そうにしていたリカルドに声を掛けた。
「リカルド。お前も暇してるのか?」
「まあ、丁度な買い出しにはアイラ達がいっててこの時間は基本暇なんだよな……そういうジンも暇なのか? 珍しいな」
「今日はイリスの訓練日だからな、クロエが担当してて俺は居残り組だからする事が無いんだよな」
そう言うと、リカルドは「イリスちゃんはどんな感じだ?」とイリスの訓練状況について聞いて来た。
「かなり良いぞ、既に中級クラスの冒険者並みには戦えれるようになってる。元々、才能があってそこに俺達の手助けが入った事で急激に才能が開花してるみたいだ」
「へ~、確かにルーク達もイリスちゃんの成長速度は異常って話してたな、見た目はルリと変わらないのに大したもんだな」
「そんなルリとイリスは仲良いからな、年齢は少し離れてるけど」
「ルリは病気もあって背が低いからな、イリスちゃんと一緒にいるとほぼ姉妹に見えるからな……若干、イリスちゃんの方が大きいからルリの方が妹に見えるのは悲しい現実だけど」
リカルドの言う通り、ルリとイリスは並ぶと身長もほぼ一緒で遠目からだと仲の良い姉妹みたいな感じだ。
だけど、ルリは成長が長期間の病気のせいで止まってしまっている為、お姉ちゃんではなく妹に見えてしまう。
「まあ、でも本人はあまり気にしてないみたいだし良いんじゃないか?」
「ああ、元気に生きてるだけで嬉しいって本人は言ってる。ジン達には凄く感謝してるよ」
ニカッと笑みを浮かべてリカルドはそう言うと、買い出しに出掛けていたアイラさんとルリが戻って来た。
「あれ、ジン君が一人って珍しいね。暇なの?」
「今日はイリスの訓練日で、俺は特に予定も無いから暇してる。それでリカルドに話し相手になってもらってたんだ」
「そっか、お父さんもジン君で暇つぶししてたんだね」
ルリはそう言うと、アイラさんと一緒に買い出しで買って来た物を食糧庫に置いて俺達の所に戻って来た。
「前から思ってたんだけど、ジン君達って凄く稼いでるよね。お家とか買わないの?」
「買えはするけど、宿暮らしが長いから特に家を持とうって話がないんだよ。それにもしも宿に泊れなくても、拠点に一応それぞれの個室は用意してるから、それで十分だと思ってるんだよ」
「そうなの? 私の知ってる冒険者さん、いつか自分の家を持つのが夢だって言ってたよ?」
ルリは知り合いの冒険者は、俺達と違い自分達の家を夢見てお金を貯めてるとそう言った。
「まあ、そう思う冒険者は多いだろうな。ジン達みたいにずっと金を稼げてる冒険者は一握りだから、宿なんて金がずっとかかるから一定額まで金を溜めたら自分達の家を買うんだ。だが、結局金を稼げなかったらその家も売り払う事になるから、夢見るだけで終わってる冒険者の方が多いけどな」
「俺達の拠点も、元は冒険者パーティーが建てた家だったからな」
「それに冒険者の中にも、パーティーで出し合えは家を買える者達は多いと思うが、それをするともしもパーティー内でいざこざが起きれば購入物を折半しないといけなくなるから、建物を買うのを踏み止まる奴等は多いと聞くな」
「流石、お父さん、何でも知ってるね」
ルリの言葉に対して、リカルドは「宿屋の店主として、情報は大事だからな」と自慢気にそう言った。
それから俺はリカルド達と暫く話し込んでいると、外に出掛けていたレイが戻って来た。
「あれ、ジン君? ずっと宿に居たの?」
「やる事が無いからな、レイは買い物か?」
「うん。イリスちゃんの訓練に使える物は無いかなって、商店街探しに行ってた~」
レイはそう元気よく言うと、お土産と言ってお菓子を俺達は貰った。
それから俺達はレイに貰ったお菓子を食べながら、冒険者についての雑談を続けた。
リカルド達とレイのおかげで、暇すぎて寝る事しかなかったが、一日楽しく過ごす事が出来た。
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