第401話 【変化した迷宮街・3】


 部屋の中に入ると、冒険者が居て丁度結果が出た瞬間だったのか、喜んでる者、負けて悔しがってる者の二通りの者達が居た。

 そんな中、俺達は店員に付けていかれある席に座った。


「それでは当店での遊び方をご説明いたします」


 店員は席に座った俺達に対し、この店での遊び方を教えてくれた。

 まず席に一つ一つ配置されたルーレットがあり、最初にそこでどこが当たるのか予想をするらしく、ここは外のルーレットと同じだった。

 しかし違うのはここからで、次にルーレットを回す前に確率を上げる魔物と戦い、難易度まで攻略すると回さず賭け側の勝利となる。

 魔物には難易度が設定されており、一番弱い魔物でも50層以上の強さがあると店員から教えられた。

 戦う際は、一つの席に着ける最大人数の6人で戦う事が出来るとも教えられた。


「最初の段階から50層以上の強さって事は、最後の魔物はどんな魔物なんだろ!」


 店員の話を聞き終えたレイは、楽しそうにそう言うと俺達はそれぞれ自分の好きな数字に掛けた。

 そして店員から「戦いを選びますか?」と尋ねられた俺達は、その質問に頷き魔物と戦う事を選択した。


「へ~、他の冒険者も入っていたけど本当に中は別で区切られてるんだな……」


「流石、迷宮だよね。外の世界じゃ、こんなの作ろうとしたら膨大な魔力にお金が必要だもんね」


 俺とクロエは部屋の中を見ながらそう言ってると、レイが「出て来た!」と嬉しそう声を上げた。

 そしてレイの視線の先を見ると、そこには3m程のゴーレムが現れた。


「……ゴーレムか」


 レイは出て来た時とは違い、明らかに落胆したような感情になると、ゴーレムが動いた瞬間、ゴーレムの頭上に移動してそのまま叩きつけた。

 その攻撃にゴーレムは耐えきれず、体はバラバラとなり一瞬で戦いは終わってしまった。


「つぎっ!」


 今回、俺とクロエは観客でレイだけが戦う事になっている。

 その為、レイの戦いを俺とクロエは離れた位置から見ていたが、それから出てくる魔物も一発でレイは倒して行った。

 店員の話によれぱ難易度は10段階で、既に例は5段階のレベルを突破している。


「レイ、昔は戦斧だけでしか戦えてなかったけど、最近は魔法も上手く使ってるよな」


「レイちゃん【土属性魔法】と自分の戦い方が相性が良いって気付いて、それから練習してたんだよ。【火属性魔法】の方は、目くらまし程度にしか使って無いけど」


「足場を作るのに便利だから【土属性魔法】は……」


 最近のレイの戦い方は変わって来ていて、【土属性魔法】で足場を作りそこを蹴って空中で移動したりしている。

 身体能力が昔よりも、上がったから出来るようになったと本人は言っていた。


「それにしても、レイの戦いはみてて爽快感を感じるよな」


「レイちゃんの攻撃、どれも一発の威力が凄いからね~。破壊力だけで言えば、ジン君と同じくらいじゃない?」


「まあ、威力だけ考えるとそうなるな……というか、レイの力はおかしいからな、素の能力もそうだけどスキルやら固有能力やらが噛み合っててマジでえげつないからな……」


 素の状態でも高い攻撃力を持つレイは、そこにスキルやら固有能力の力を足すとマジで化け物クラスの力となる。

 流石に今はレベル差があるからレイには負けないだろうけど、これでレイとのレベル差が無くなった時は怖いな……。


「俺もそろそろ、レベル上げを本気でやった方がよさそうだな……」


 そう俺はレイの戦いを見ながらそう思い、レイは特に苦戦する事無く全ての魔物を倒す事が出来た。

 本人は多少満足している様子だったが、店の方はまさかこんなに早く全ての魔物を倒されるとは思ってなかったらしく、少し慌ただしかった。


「どうだった? 楽しめたか?」


「ん~、まあ普通かな? 通う程じゃないかも」


 レイのその言葉を聞き、周りにいた店員がホッと安心していたのが目に入った。

 その後、他の店も見て回ったが俺達が楽しめるのもいくつか発見は出来たが、それを遊ぶのはレンと来た時にしようと遊ぶ事はしなかった。

 そしてその日の夕食の席で、商店街に行った事をレンに話をした。


「へ~、商業区にそんな変化があったのか、知らなかったな」


「今日見て回ったけど、レンも興味がわくような遊びもあったから今度は皆で行こうと思うんだけど、どうだ?」


「ああ、その時は一緒に行くよ。少しは気になるからな」


 レンも話を聞いてて興味が湧いたのか、一緒に行く事を約束してくれた。

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