第395話 【お休み期間・3】


 その後、普通に夕食を済ませた俺はシャワーを浴びて部屋に戻って来た。


「明日はどうしようかな、折角の休みだけどやる事が無いんだよな……」


 クロエとレイは買い物に行くと言ってて、誘われたけど買いたい物が無いからその誘いを俺は断った。

 レンはレンで研究があるから、明日も俺は一人だ。


「ハンゾウの所には今日行ったし、姫様との情報交換もこの間したばかりだ。ギルドにも攻略を終えて直ぐに行ったし……」


 そうして俺は悩みながらベッドに横になり、結局いい案は浮かぶ事は無く次の日を迎えた。


「それで暇つぶしの為に私の所に来たの?」


 翌日、特に予定を思いつかなかった俺はリーザ店へとやって来た。


「まあ、それもあるけど昨日、リカルドの店で修繕作業をしてる際にそういう道具とかあってもいいなって思ってな、ここそういうのも置いてるだろ?」


「あるわよ。でも、ジンなら一から作った物の方が良いんじゃないの? その方が手に馴染むし、愛着も沸くわよ」


「う~ん、別に本格的に大工とかする訳じゃないけど、金も余ってるし作ってもらおうかな?」


 リーザの勧めに俺は悩みながらそう答え、作ってもらう道具を選んだ。


「そう言えば、迷宮で取れた武具は結局どうしたんだ?」


「いくつか溶かしてみて、新しい装備の材料にしてみたわよ。ただ今までの武具に比べて、魔力がかなり溶け込んでて何度も失敗してるわね」


 迷宮で取れた武具の内、上層で取れた物はギルドに買い取ってもらい、深層でとれた武具に関しては殆どリーザの店に渡している。

 勿論、買取だが俺達としてはリーザの腕を更に上げてもらう為、格安で渡してリーザも俺達の気持ちを答える為に頑張っているみたいだ。


「やっぱりリーザでも難しいか」


「流石にね。流石、神様が作った迷宮の最深部で取れた武具達よ。作りからして、私の技術を上回ってる物もいくつかあるわ……でも、その技術を私は吸収して更に上にいくつもりよ」


「楽しみにしてるよ。その時が来たら、俺達の防具も新しいのを作ってもらおうかな」


 そう俺は笑みを浮かべて言うと、リーザも笑みを浮かべて「直ぐに作ってあげるわよ」と言った。

 その後、リーザの店でお昼まで暇つぶしをした俺は昼食とレンの研究の様子見を兼ねて拠点の方へと顔を出した。


「なあ、レンが何処にいるか知らないか?」


「レンさんなら地下の研究所の方ですよ」


 拠点に入り、研究所の方に顔を出すとそこにはレンの姿無く、丁度近くを通った悪魔にレンの居場所を聞くと地下に居ると言われた。

 地下という事は、上で出来ない研究をしてるという事か……。


「うん。邪魔になるだろうから、声は掛けに行かない方がいいな」


 邪魔になると思った俺は、レンの所に行くのを止めてそのまま調理場の方へと行った。

 そして悪魔達も丁度、お昼ご飯を作るみたいだったので、今日は俺が作ってやると言って拠点に住む悪魔達に料理を振舞う事にした。


「ジンって料理も出来たんだな……」


「まあな、いってもまだ練習中だけどな」


 昼食を作り終えた俺は悪魔達と一緒に食べており、隣で食べてるレドラスは俺の料理を食べて驚いた顔をしていた。

 その後、暫くして地下から戻って来たレンが来て「あれ、ジン来てたのか?」と言われた。


「さっきな、レンの様子を見に行こうとしたんだけど地下に居るって聞いて、地下なら難しい事をしてると思って声を掛けに行くのを止めたんだ」


「そうだったのか、別に地下に保存してる物の経過を確認しに行ってただけだから、来ても良かったんだけどな……今日の料理は、ジンが作ったのか?」


「ああ、レンの分も残してるよ」


 そう言うと、既に悪魔がレンの分の食事を用意していたので席に座って、レンも一緒に食事にする事にした。

 それから俺はレンに研究頑張れよと声を掛け、先に宿に帰宅した。

 そして宿に帰宅した俺は、昨日途中で終わっててやり残してる所がある事を思い出し、リカルドに昨日の続きをしても良いか聞きに行った。


「俺としては嬉しいけど、今日は俺は仕込みとかあるから一緒に出来ないぞ?」


「別に良いよ。俺も暇つぶし程度にやるから」


 リカルドの了承を得た俺は、昨日同様に裏庭に道具を取り出してやり残していた所の続きをする事にした。

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