第390話 【成果・1】


 戦女達の再教育に参加してから、更に数日が経過して授業に参加して10日が過ぎた。

 最初は駄目かもしれないと諦めかけていたレリーナさん達だったが、俺達が参加して脅しが効いたのか徐々に良くなっていった。

 まだ一流の貴族とは言えないが、真面レベルには何とか成長させる事が出来た。

 そんな彼女達を見て、当初自分達も諦めていた彼女達の家族は変わり始めた彼女達を見て凄く感謝していた。


「そろそろ、俺達が居なくても大丈夫そうですけど、どうしたらいいですかね? この再教育って、期間とか決まってるんですか?」


「いつ終わるのか分からない状態だったから、期日も曖昧だったのよね。ただ今の彼女達を見る限りだと、大分よくなってきてるからある程度の目安で終わらせて、各々の家庭で家庭教師を雇ってもらう方が良いわね」


「大分、マシになった状態だから普通の家庭教師でも多分大丈夫でしょうしね」


 俺の言葉にレリーナさんがそう言うと、リネアさんも同じような事を言った。

 それからレリーナさん達は、王城に現状報告と今後は様子を見つつ家庭教師をつけて教育を続けていくのはどうかと書いた手紙を出していた。

 その後、手紙を出し終えると今日の授業の為に部屋に向かった。

 以前までなら、双子はお互いに話に夢中になっていたし、アンナとナナリーは愚痴を言い合っていたりしていた。

 しかし今では大人しく席に座り、俺達を待っていて授業が始まると姿勢は崩さず真剣に聞いていた。


「本当に凄く変わったな……」


 脅しが効いたのもあるが、たった数日でここまで変わるとは予想もしてなかった。

 そもそもゲームではあんな酷い感じじゃなかったし、勇者ともいい関係を築いていたはずなんだよな……。

 やっぱり、序盤でジン・・という敵が居なくなったせいで、勇者と戦女との関係値がゲームの時と変わってるのだろう。

 正直、そういう思いもあったから今回の再教育に参加したというのもある。

 その後、今日の授業も大人しく真面目に聞いていた戦女達と別れた俺は、午後組のクロエ達を待機室で待つ事になった。


「ねえ、ジン君。再教育が終わったら、また迷宮に行くの?」


 待機室で待っていると、同じく待っているフローラがそう話かけて来た。


「そのつもりだな、一度攻略してるけど神様と約束してまた来るって言ったからな」


「神様と約束したの? ジン君、相変わらず凄いね」


 フローラはクスクスと笑いながらそう言うと、俺の顔を見て「協力してくれて、ありがとう」とお礼を口にした。


「別に良いよ。友達から助けて欲しいって言われたら、俺は動くよ」


「ふふっ、ジン君との問題を解消して友達になってて良かった」


 そう俺とフローラが話していると、部屋の外に出ていたレリーナさんが戻って来て「あら、何か楽しい話でもしてたの?」と会話に入って来た。

 その後、三人で城で生活してた時の思い出話をしながら時間を潰し、午後組の授業も終わったのでクロエ達と一緒に宿に帰宅した。

 帰宅すると、レンも丁度戻って来たので俺達はそのまま一緒に食堂に行き、夕食を食べる事にした。


「なあ、ジン達はいつまで貴族の再教育に参加するんだ?」


 夕食を食べ始めると、レンはそう俺に聞いて来た。


「その話、今日してきたけど王城から返答が無いから、まだ分からないけど数日後には終わるとは思う」


「そうなのか? 一月位、掛ると思ってたけど意外と早かったな」


「ジン君の脅しが効いたからだろうね~。あの時の彼女達の顔、凄く怯えてたもんね」


「……ジン。一体何したんだ?」


 ルル姉の言葉にレンは、俺の事を怪訝そうな顔で見ながら言ってきた。


「普通のネックレスを見せながら、魔力を奪い続ける道具って説明して、もしも良くならないならこれを装着させるって脅しただけだよ」


「その脅し、普通の人が言えばまだマシだろうけど、ジンが言うと本当に用意してそうで怖いな……勿論、そんな物は無いんだろ?」


「ああ、無いよ。レンなら作れそうだなって思ったけど、流石に現物を用意するのは危ないと思って止めた」


「ジンの言葉だけの物なら、作れない事も無いけど……作りたくは無いな」


 レンは俺の言葉を聞くとそう言って、俺が考えた想像上のアイテムの話はこれ以上はしない事になった。

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