第386話 【問題児達・1】
フローラから頼みを聞いてから二日後、俺はクロエ達と姉さん達と共にフローラから聞いた建物へと向かっていた。
あの日、クロエ達と姉さん達にフローラから聞いた内容を伝え、手伝ってほしいとお願いした。
皆は俺の頼みに対し、顔を見合わせると「勿論、手伝うよ」と言ってくれた。
ただレンは研究の事や、そもそも貴族の事について何も知らないから、今回は難しいと言われ、レンは今回のメンバーから外れている。
「私、留守番が嫌でついて来たけど、貴族の事知らないけど大丈夫かな?」
「まあ、実際に勉強を教えるのはフローラと姉さんとルル姉がして、俺達は見張りと言う名の監視役だから、俺達が教えるって事は無いとは思う」
「監視するって、貴族の人相手にやっても大丈夫なのかな?」
「国からの許可が下りてるし、問題児達の親からの許可も下りてるから大丈夫だよ。これで文句を言ってきたら、姫様が私の名前を使って押さえつけなさいって許可も出してくれてる」
貴族を相手するという事で、クロエが少し心配してたから俺は事前に伝えられた事をクロエ達に伝えた。
それから俺達は馬車で目的の場所に到着すると、屋敷を警護してる兵士は俺達が来る事は知らされていた様で中に通された。
屋敷の中に入った俺達はメイドの案内で、教育係が集まってる部屋に通された。
「あら、フローラが新しく人が来るって嬉しそうに言ってたから誰かと想像してたら、貴方達だったのね」
「お久しぶりですね。レリーナさん、それにリネアさんにティアナさんもお久しぶりです」
部屋の中には、知り合いの貴族の女性陣が集まっていた。
フローラの母のレリーナさんに、ノルフェン家の母娘も揃っていた。
「フローラが教育係として動いてるなら、レリーナさんも居るだろうと思ってましたが、まさかノルフェン家の方達も居たとは驚きました」
「ふふっ、王城から頼まれてね。ティアナも姫様にお願いされて、断れなくて参加する事になったのよ」
リネアさんは俺達の登場に嬉しそうに近づいてくるとそう言い、俺の後ろにいた姉さんの顔を見て、驚いた顔をした。
「あら、もしかしてヘレナちゃん?」
「はい。お久しぶりですリネアさん」
「あらあら、こんな所で貴女と会えるなんて嬉しいわ~。最後に会った時は、もっと小さかったのに……って、ルルちゃんも居るじゃない!」
リネアさんは姉さん達の顔を見ると、嬉しそうにそう二人に近づいて興奮気味にそう喋っていた。
一応、姉さんは俺とは違って貴族との交流があったから、リネアさんとも交流があったのだろう。
それから姉さん達はリネアさん達と話を始めたので、俺達はレリーナさんの所に行き、今の状況について詳しく聞く事にした。
「正直、成果は全くと言っていい程無いわね。あの子達も自分達が戦女として、世界を救ったっていう変な自信があるせいで私達のいう事をあまり聞かないのよ。同じ戦女だったフローラの言葉でさえ、あまり聞いてないようだし」
「レリーナさん達の言葉すらも聞かないんですか? 流石にそれは……」
「聞かないわよ。聞いてるふりはしてるけど、私達が交代したらすぐに言った言葉は忘れてるわ。フローラとティアナは、完全に舐められてて文句ばかり言ってるわね」
そうレリーナさんは溜息を吐くと、俺の顔を見て「ジン君で駄目なら、再教育は難しいわね」と言った。
「そもそも、その人達って俺の事は知ってるんですか?」
「流石に馬鹿な子達だけど、ジン君の事を知らないって事は無いわよ。記憶力がオーク並みじゃない限りだけど」
相当ストレスが溜まっているのか、レリーナさんは普段使わない汚い言葉を言い放つと、それを聞いていたフローラが心配そうな顔で見ていた。
ここまでレリーナさんが頭を悩ませるレベルって、どれ程の問題児なのか逆に怖くなって来た。
「私達で監視できるのかな?」
「調子に乗り始めたら、少し脅してもいいわよ。あの子達にはそれくらいは必要だと思うわ」
そうレリーナさんは悪そうな笑みを浮かべながら言うと、フローラは「お、お母さま落ち着いて!」と慌てていた。
その後、勉強の時間となって交代制で普段は見るのだが、今日は俺達の顔合わせと言うのもあり、全員で問題児達の待つ部屋に向かった。
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