第377話 【目的の物・1】
それから96層の探索を念入りに行いつつ魔物狩りを続けた俺達は、96層の探索開始から二日が経過した。
「ジン達が96層で止まってる理由って、深層地帯に入って偶に魔物が持ってる玉の本物を狙ってるんだね。二日経ったけど、手に入れてないって事は相当入手が難しそうみたいだね」
「そもそも二日間探索を続けて、玉持ちを見つけのが3回ですからね。遭遇するのすら、本当に難しいです」
情報交換、と言うよりもお互いに今攻略してる所を知る為、ユリウスが迷宮の家へと来ており、そこで現状の事を伝えた。
「ユリウスさん達も深層地帯に居るんですよね? もう偽物の玉持ちと会いましたか?」
「うん。何度か会ったよ。最初は驚いたけど、その後は特に問題なく対処出来てるよ。僕も玉の事が気になったから、回収出来たらしようと思ってるんだけど、回収は今の所出来てないね」
「偽物でもかなり難しかったですからね。俺達も一応、何個か手に入れましたけど、レンの研究材料の為にもう少し欲しいと思ってるんですよね」
「レン君が研究か……確かに、レン君ならあの玉の力を解析できそうだもんね」
そうユリウスは言うと、もしも自分達が見つけたら俺達に譲ろうか? と言われた。
「いや、流石にタダでは受け取れませんよ」
「でも、僕達が持ってても使い道が多分無いんだよね。王都で今一番、そういった研究が得意なのはレン君だし、姫様もレン君に渡した方が良いって言うと思うんだよ。ちなみにアンセルとアンジュは、そもそも興味も無いみたいなんだ」
「う~ん……それなら、ユリウスさん達が必要な物と交換とかどうですか? 迷宮の攻略情報は多分要らないと思いますけど」
流石にタダで貰うのは気が引ける俺は、そんな提案をした。
すると、ユリウスは暫く考え込むと「それなら、レン君の薬と交換はどうかな?」と言ってきた。
ユリウスが提示して来たのは、レンの薬の中でも回復力が高い薬だった。
「レンの薬ですか? わかりました。後でレンに確認して、玉一つとどの位交換できるか聞いておきますね」
「うん。よろしく、こっちも絶対にとれるって保証はないけど、頑張ってみるよ」
その後、ユリウスは家に戻ると言ったので玄関まで見送りに行き、それから俺はレンの所に行き、ユリウスからの提案について伝えた。
「わかった。薬であの玉が手に入るなら、俺としても有難いからな何本でも渡しても構わないよ」
「いや流石に交渉はするよ。渡し過ぎても価値が薄まるからな」
そう言って、もしかしたら後でレンも交えて交渉の場を設けるかもしれないと言うと、レンは「わかった」と言って作業に戻った。
その後、折角王都に戻ってきた俺はギルドへと行き、現状の冒険者達の進み具合について聞いた。
「そうですね。第一探索者の内、半分以上の方が既に戻って来てはいますね。第二探索者や、それ以降の方達も第5層の試練でかなりふるい落とされてるみたいです。突破は出来ますが、迷宮の家に入れない為、他の冒険者との差にストレスを感じて出てきてるみたいです」
「迷宮の家が使えなかったら、かなり探索に支障が来ますからね。特に俺達なんて個室に男女に別れたお風呂等、色々と完備されてますからね」
「一番ランクの低い家でも、風呂トイレは付いているみたいなのでその差を感じた冒険者の方達は既に出てきていますね」
まあ、自分達は野宿みたいな状態なのに他の冒険者が風呂に入って寛いでいたら、そりゃストレスも溜まって攻略も諦めたくなるだろう。
「それと早い方で50層突破をしていまして、大体の方は30層付近までは進んではいますね。またジンさんやアンジュさん達の様に、それ以上進んでる方達も何組か居るみたいです」
「ルークさんや姉さん達ですね」
「はい。60層突破は現状、ジンさん達を合わせて10組しか突破していません」
その10組の内、半分は知り合いだろうな、ルークさんや姉さん達、それとユリウス達だろう。
残りは他国から来た冒険者等も挑戦してるみたいなので、知らない人も居るだろう。
その後、ギルドを出た俺は外の情報を仕入れる為にハンゾウの所へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます