第375話 【深層地帯で魔物狩り・3】
「よし、これで94層の採取は終わりだな」
探索再開から1時間程が経った頃、俺達は無事に94層の探索を終えた。
とれた素材はかなりあり、研究材料として使える物の他に魔力がかなり吸収して元の鉱物のクラスを上げている鉱石等が大量にある。
研究材料はレンに渡すとして、鉱石はリーザの所に持って行って新しい装備でも作ってもらおうと考えている。
「リウス、お前の方はどうだった? 報告に来なかったって事は、玉持ちは居なかったのか?」
「キュ~」
「そうか、居なかったか。まあ、そう申し訳なさそうにしなくても大丈夫だ。ガチで魔物狩りをするのは、96層からだからな」
玉持ちの魔物を見つけられなかった事に対してリウスは落ち込んでいたので、俺はそう言って励ますとリウスは嬉しそうに尻尾を振っていた。
その後、俺達は95層のボス部屋へとやって来た。
入口から確認すると、95層のボスはこれまでのドラゴンシリーズが続くかと思っていたら、再び石像が置いてあるだけだった。
「95層はボスじゃないみたいだね」
「ドラゴンじゃないのか……素材がとれると思って、期待していたんだけどな」
「私もドラゴンと戦いたかったな~」
「きゅ、きゅ~」
クロエ達は目に見えて落ち込み、リウスもまたドラゴンと戦えるかもと聞いていたので落ち込んでいた。
そんな俺達がボス部屋の中に入ると、真ん中に置いてあった石像は急に「バキッ」と音をたて崩れ光出した。
「凄い演出だね!」
「中から何か出てきてるよ?」
クロエの言葉を聞いた俺は、石像の方を集中していると、石像より何倍も大きいサイズへと光は大きくなり白いドラゴンがその場に現れた。
「きゅ、きゅ~!」
白いドラゴンが現れると、リウスは何やら興奮して今まで小さくなっていたが体を大きくしてそのドラゴンの前に移動していった。
「良いのか? リウスを行かせても」
「まあ、あの程度のドラゴンならやれるだろう」
そう俺は言いながら、ドラゴンと睨み合いをしているリウスの方を見た。
「グルォォォォ!」
「キュ!」
雄叫びを上げたドラゴンに対し、リウスは「煩い」と言わんばかりに尻尾で頭を叩きつけた。
リウスは竜王の元で修行していた事もあって、あの程度の【咆哮】には驚きもしない。
逆に煩いと感じて、リウスはちょっと怒っている様子だ。
「リウス君、一緒に戦おうね!」
「きゅ~」
リウスの足元からレイが叫ぶと、リウスは「勿論」という風に鳴き、レイを背中の上に乗せてドラゴンに向かって掴みかかった。
そしてそんなリウスとドラゴンが掴み合ってる所に、リウスの背中から飛び上がったレイはそのままドラゴンの頭上に凄まじい蹴りを放った。
鈍い音が部屋中に響くと、ドラゴンはふらついて地面に膝をついた。
「リウス君、一緒に行くよ!」
「キュ!」
クロエの言葉にリウスは返事をすると、二人は同時に魔法とブレスを放った。
その攻撃はドラゴンに直撃して、ドラゴンは悲鳴のような声を上げた。
「……なんか、俺達やる事無いな」
「支援いらなさそうだな、まあ見てて面白い戦いだし、俺達は観客になっておくか」
やる事が無い俺とレンは部屋の隅の方から、リウス達の戦いを眺めていた。
それから10分もしない内にドラゴンはクロエ達の猛攻に耐えきれず、倒れてしまった。
出てくるときはかなり凝った演出だったが、ドラゴンはアッサリと倒れてレイ達は嬉しそうに「楽しかった~」と言っていた。
リウスも同じドラゴンと戦えて満足したのか、クロエ達と一緒に喜んでいた。
それから俺達はドラゴンの死体を回収して奥へと進み、96層へと降りる事にした。
「さてと、ここから更に本格的に狩りをしよう。リウス、まだ体力は残ってるか?」
「キュ~!」
「そうか、なら94層と同じルールで自由に戦いを楽しんできていいぞ」
「キュッ」
リウスは俺の言葉に返事をすると、96層の奥へと進んでいった。
そしてリウスと別れた俺達も、96層の探索を始めた。
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