第334話 【片付け代行人・2】
翌日、宿の朝食を食べた俺は師匠と共に神聖国へと移動して、それぞれの持ち場へと向かった。
今日の目標としては、首都以外の街の整備を終わる事だ。
「実際に目にしてないけど、どれだけの被害状況かで掛る時間が変わってくるな……」
俺はそう不安に思いながら、まず最初の主要都市へと向かった。
……予想はしてたけど、やっぱり村とかに比べて被害状況がかなり酷いな。
「それに腐敗臭もするって事は、死体もそのままって感じだな……」
村や小さな街は、俺の忠告を聞いて神聖国を捨てるものが多数いて殆どが避難していたおかげで死体は無かった。
中にはあったのかも知れないけど、気づかないレベルでそこまで腐敗臭などはしなかった。
しかし、この最初の主要都市からは鼻の奥に来るような腐敗臭が臭っている。
「最悪だな……とにかく、早く終わらせよう」
俺はそう考えてさっさと終わらせようと、村とかよりも大雑把にゴミを集め燃やした。
残りゴミにも臭いがついていて、【異空間ボックス】に入れるのを躊躇った俺はそのゴミの周囲をガチガチに土で何重にも固めて入れた。
「早く、これを捨てる機会を探さないとな……異空間で臭いが移るとかはないけど、精神的に嫌だな……」
俺は色々と我慢しながらもゴミの収集を終わり、次はこの街の整地を行った。
被害状況が悪く、かなり酷い場所となっていたが何とか綺麗に整地をする事が出来た。
ただ一つ問題があり、この街の近くには川が流れていてドラゴンの攻撃で湖が途中に出来ていて川の流れがおかしくなっていた。
「これは街の整地の前に、この川を直した方が良いな」
このまま放置すれば、大変な事になるだろうと思った俺はその川の新たな流れを作る事にした。
川の流れを変えるなんてした事は無いが、地図を見ながらある程度、頭の中で設計したとおりにやってみる事にした。
最初は少し失敗して逆に川の流れが更に酷くなったが、何度か修繕していくと川の流れが良い感じになった。
「うん……まあ、この位なら大雨が降っても大丈夫だろうし、これ以上弄るとまた変になるからこれで良いか」
奇跡的に上手く行っただけで、俺は川の流れの変え方は特に理解していなかった。
なのでこれ以上は触らないで、後の事は竜人国に任せようと思い次の街へと向かった。
その後、俺は自分の持ち場の主要都市を整備していくと、最後の街の作業をしてる途中で師匠が俺の方へとやって来た。
「こっちに来たって事は、師匠の方は終わったんですね」
「ええ、臭かったから早く終わらせようと思ってね。弟子ちゃんも大分頑張ってるみたいね」
「はい。途中、川の整備もしていて時間をそっちに割いてしまいましたが何とか最後の街まで来れました」
「川の整備? 何でそんな事をしてたの?」
師匠からそう聞かれた俺は、何故そんな事をしていたのか経緯を話した。
「そっちは川も攻撃されてたのね。私の方は、川や人が通る道はなるべき攻撃されていなかったのよね。多分、担当したドラゴンが神聖国にどれだけ怒っていたかで被害が違うみたいね」
「そうみたいですね。俺もここに来るまで、被害が少ない街もあってどうしてここまで違いがあるんだ? と思いましたけど、師匠の考えと同じ理由でしょうね。ドラゴンの中には、神聖国と関わってないドラゴンも居るでしょうしね」
「そうね。トップの竜王が神聖国を嫌っていたから、一緒に嫌っていたってドラゴンも居るでしょうね」
そう師匠は言うと、俺の方の街も手伝うわと言って最後の街は一緒に整備をする事にした。
「ふ~、ようやく首都以外の整備は終わりましたね。でも、最後に残ってる首都が一番面倒そうですね……」
「そうね。あの時、かなり人も殺してたから腐敗臭もしてるだろうし、私達が居なくなった後にドラゴンが首都も破壊していたから、相当面倒だと思うわ……」
「……取り合えず、首都に関しては明日考えましょうか。今日は、一旦お連れ様という事で」
「そうね。早くお風呂に入って、体についたにおいと疲れを取りたいわ」
その後、俺達は宿に戻り直ぐにシャワーを浴びる事にした。
そして夕食までの時間、俺はゴミをどう処理をするか悩み、特に良い案が浮かばず、整備が終わったら姫様に聞こうとそう考えた。
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