第313話 【問題の対処・4】
そうしてやって来た場所は、印の場所から1㎞程離れた場所。
どんな魔物が居るか分からない為、魔力の感知に長けた奴がいるとバレると思いあまり近い所には飛ばなかった。
「情報通り、かなりの数が居るみたいだな」
「そうみたいだね。ジン君、あの数の魔物どうするの? 私達で倒すには、時間かかりそうだけど」
「う~ん……そうだな。レイは戦いたそうにしてるし、魔王軍の時と同じで、俺が上からリウスと一緒に殲滅するから、倒し損ねた魔物はクロエ達に任せても良いか?」
魔王軍と戦った際に使った作戦を伝えると、レイは「私はそれでもいいよ~」とやる気満々でそう答えた。
クロエとレンも反対する感じでは無かったので、この作戦で行くと決めた。
そうして俺は久しぶりにリウスを呼ぶと、リウスは嬉しそうに俺の顔にスリスリと顔を寄せて来た。
「それじゃあ皆、無理はしないようにね。危なくなったら、いつでも引いていいからね」
そうクロエ達に言って、俺はリウスに乗り魔物達の上に飛ぶように命じた。
リウスに乗って少しして、様々な魔物達が集まってる群れの上空へとやって来た。
「きゅ~、きゅ!」
「リウス。お前も戦いたいのか?」
「きゅっ!」
リウスは魔王軍戦以来の見せ場で、活躍したい様子だった。
俺はそんなリウスの意思を尊重して「それじゃ、リウスは右側を頼めるか?」と言うと、リウスは頷いて返事をした。
そして俺とリウスは、同時に魔物達への攻撃を始めた。
「——!」
地上では俺達の攻撃によって一気に約半数の魔物が倒れ、もう半分も瀕死の状態となっていた。
身の危険を感じ取った魔物達は、この場から逃げだそうとした。
しかし、地上ではクロエ達が待機していた為、魔物達は一匹もこの場から逃げる事が出来なかった。
「リウス。あっちにまた固まってるみたいだから、そこにもう一度ブレスを頼む」
「きゅっ!」
リウスは俺の指示で固まって逃げてる魔物に向かってブレスを放ち、更に魔物の数を減らした。
その後、俺等は魔物狩りを続けて数千体集まっていた魔物達を全て倒した。
「ん~、久しぶりにこんなに動いた~。楽しかったねクロエちゃん」
「うん。楽しかったね~」
クロエとレイは、存分に魔物狩りを楽しんだ様で来た時よりも笑顔でそんな事を言っていた。
レンもまたここ最近、見回り等でストレスが溜まっていていつも以上に表情筋が死んでいたが今は少し晴れやかな顔をしていた。
「レンも楽しめたみたいだな」
「ああ、久しぶりに爽快感を味わえて気分がよくなったよ。そういうジンも、上から一気に魔物を狩れて楽しそうだったな」
「一度に数百体魔物を狩れるから、爽快感は半端無いよ」
レンの言葉にそう返した後、俺達は魔物が隠れてないか探索をする事にした。
その結果、無事に全ての魔物を倒したみたいで、魔物の気配は一匹も感じる事は無かった。
「それじゃあ、そろそろ帰るとするか」
そう言って俺は、転移で皆と一緒に王都に帰ろうとすると、ベルロスから「ジン、待て」と話しかけられた。
「んっ? なんだ」
「近くに悪魔の気配がするぞ」
「……本当か?」
ベルロスの言葉に、俺達は一気に気を引き締め直した。
「どこか分かるか?」
「山の中から感じる」
その言葉を聞いて、俺とクロエは山の方向を念入りに【魔力探知】を行った。
すると、確かに微量だが悪魔の魔力を感じ取った。
俺はそいつの魔力を感じ取ると、その場所に向けて魔法を放った。
「ギャアッ!」
魔法は山の中に隠れてる悪魔に直撃したようで、悪魔の叫び声が聞こえた。
そして直ぐにその場所に向かうと、灰色の髪をした男の悪魔が倒れていた。
「こいつ知ってるか?」
「無いな、こいつは俺達とは違って下位の悪魔だ。力を感じ取れるジンだったら分かると思うが、こいつの力と俺達とは差があるだろ?」
ベルロスの言う通り、この倒れてる悪魔からはこれまで見て来た悪魔よりも遥かに力が劣っていた。
この力だと、初期段階の力を封印したフィオロ以下の力しか無さそうだった。
「下位と上位でここまで差があるんだな」
「だから、下位悪魔って呼ばれてるんだよ。それで、どうするんだこいつは?」
「……丁度、レドラスの報酬が必要だったし、師匠の所に連れて行って力を封印させよう」
「封印する程、力は持ってないと思うがな」
その後、俺は倒れている悪魔を師匠から貰った特別な縄で縛り、クロエ達と共に師匠のいる空島へと向かった。
そして悪魔の力を完全に封印してもらい、王都の拠点へと移動した俺はレドラスにその下位悪魔を渡した。
「これで掃除をちゃんと出来るな、おいお前今日から俺の指示に従ってもらうからな?」
「は、はい!」
元々上位悪魔の一匹であるレドラスに逆らえない下位悪魔のそいつは、レドラスの言葉に敬礼をして返事をした。
その光景を見届けた後、俺達はギルドへと向かい魔物の討伐が終わった事を報告した。
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