第311話 【問題の対処・2】
ハンゾウの店に着いた俺は、奥のハンゾウの部屋へとそのまま通された。
「どうだ。ハンゾウ、何か掴んだか?」
「ぼちぼちだな……ジンから相手に悪魔が居るって聞いて、こっちも慎重に動いてるんだが。中々、尻尾を見せない」
「そうか、あんまり無理はするなよ?」
「分かってるよ。引き際だってちゃんと分かるのが、俺の組織の力の一つだからな」
俺の心配に対して、ハンゾウはニヤッと笑みを浮かべて言葉を返してきた。
俺はそのハンゾウの言葉を信じて「頑張れよ」と言い、少しだけ王都の情報をハンゾウから聞いて宿へと帰宅する事にした。
「流石に神聖国もこっちの動きを警戒してきたか……だけど、それでも止める気は無さそうだな」
この数日間、神聖国が裏で手を引いている問題事を何度も解決して来た。
それで向こうもこっちの対処の速度を見て、最初の頃に比べると数は多少減っていた。
しかし、それでも神聖国は問題を起こすのを止める気は無かった。
正直、俺はそんな神聖国の動きに対して、ここまで馬鹿な国もあるんだなと思った。
「師匠もこんな国の事を考えて、逃げるだけの選択をとっていたんだな……師匠も可哀想だな」
あまりにも神聖国が馬鹿だなと感じた俺は、師匠達の事を思い浮かべそう思った。
それからクロエ達が戻ってくるまで、俺は食堂で時間を潰す事にした。
「今日もご苦労様だな、クロエ達は今日も王都の見回りか?」
「いや、今日は皆は拠点の方で体を動かしてる。新しい武器の調子を確認してるんだ」
「そうなのか、お前らがちゃんと休んでるようで良かったよ」
食堂の隅で変な奴らが来ないか見張っていると、リカルドが注文してないのに野菜のスープを持ってきた。
リカルドが持ってきてくれたスープを俺は、有難く受け取りそう返事を返した。
「それで、どうなんだ? 事件は解決できそうか?」
「ぼちぼち進んではいるけど、今すぐには無理そうだな」
「成程な……王都にはお前達、それ以外の所にもジンの知り合いが居て、直ぐに対処されたら、そりゃ相手も警戒するか」
「ああ、だけどそれでも止める気はなさそうだから、徹底的に戦うつもりではいるよ」
正直な話、俺は神聖国の事はよく思ってない。
中に良い奴もいるかも知れないが、それ以外の悪い奴等が目立ちすぎてて、良い奴が霞んで見えている。
だから俺は神聖国の事はよく思ってなく、徹底的に潰してもいいかもしれないと最近は思い始めている。
「まあ、あんまり無茶はするなよ? ジン達は直ぐ無茶な事をするからな」
「断言はできないが、心配してくれてありがとな」
心配してくれたリカルドに対して、俺はそうお礼を言った。
俺からお礼を聞いたリカルドは、少し照れた様子で調理場の方へと帰っていった。
それから数時間後、クロエ達は運動を終えて宿へと戻って来た。
レンは普段とそんなに変わりなかったが、クロエとレイは清々しい顔をしていて少しはストレス解消が出来たみたいだった。
「それでどうだった。新しい武器の方は?」
「凄く使いやすかったよ。初めて使ったのに、なんだか今までずっと使って来たみたいに持ちやすかったよ」
「うん。私もそう感じた。それに私が今まで使ってた戦斧と強度自体はそんなに変わりないのに、今日貰った武器の方が軽くて扱いやすかった」
クロエとレイは、未だ少し興奮気味にそう言った。
そんな二人よりかは落ち着ているレンにも一応聞くと、レンも「軽くて振りやすかった。良い武器だな」と笑みを浮かべて言った。
「レンも気に入ってくれたみたいで良かったよ」
レンの反応を見てそう言うと、レンは「凄く気に入ったよ」と言葉を返してくれた。
夕食後、シャワーを済ませた俺達は俺の部屋に集まって今日聞いた情報を皆と共有する事にした。
「そっか、遂に魔物の襲撃が始まるかも知れないんだね」
「ああ、だから皆にはいつでも戦える準備はしておいて欲しい」
そう言うと、皆は既に準備は出来てるよと言葉を返してくれた。
その後、話し合いを終わった俺達は明日も早い時間から動くからと言って解散して、解散後俺は直ぐに寝る事にした。
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