第196話 【竜人国参戦・2】
そうしてドラゴン族の事から話を終えると、姫様は頭を抱え「情報量が多すぎるわ……」と言った。
「ジンの師匠が魔女って事は聞いていたけど、まさかドラゴン族の王からも戦い方を教わっていたなんて知らなかったわよ……」
「まあ、詳しくは今回初めて説明しましたからね」
「……こんな面白い出来事があったなら、何でもっと詳しく教えてくれなかったの?」
「それはまあ、リュドラさんとの出会いの方が俺としては上に来てたので……」
ジト目で睨まれた俺は、本当に思っている事を言った。
その後、姫様からはちゃんと話す約束をして、この件については終わった。
「……えっ、呼び出した理由ってそれだけですか?」
「そうだけど?」
「……最近、普通になってたから忘れてましたけど、姫様ってそういう人でしたね」
堂々と言い切った姫様に対して、そう言えば姫様はこういう性格の人だったと思いだしてそう言った。
「あっ、そうだ。姫様、一応これ渡しておきますよ。相手には、姫様にも渡す分も金を払っておいたので」
「……なにこれ?」
姫様は俺がハンゾウの所で買った資料の束を受け取りながらそう言うと、中身を見てもう一度「なによこれ!?」と叫んだ。
驚く姫様に俺は、ハンゾウの事を話すと「何でジンは、あの情報屋とやり取りが出来るのよ……」と呆れられた。
「私達でもその店の場所を把握する事も出来てないのに、どうやって店の場所を知ったの?」
「前に俺の事を付け回してきたので、その時に話し合いする為に行った事があるんです。これは前に話しましたよ」
「……そう言えば、そんな事を言ってたわね。その時は普通の情報屋かと思ってたけど、まさかあの大陸一の情報屋だとは思わなかったわ。ジン、そこを紹介するのは無理よね?」
「無理ですね。ハンゾウはリーザ以上に気に入った相手じゃないと仕事をしないので、もし俺がハンゾウの居場所を話したとしてもあいつなら即座にその店を捨てて消えると思いますよ」
ハンゾウの性格から国に仕えるなんて事は絶対に無いから、どうにかして気に入ってもらうしかあいつとやり取りをする事は難しい。
ゲームでは勇者の事が気に入ったハンゾウが、自ら姿を現して情報を売っていたが、この世界だとそのポジションは俺になっている。
まあ、そこに関しては勇者には悪い事をしたなと思っている。
「やっぱり、あの噂は本当の様ね……そうなると、本当に欲しい情報はジンに頼んでハンゾウの機嫌がよくないと貰えないわね」
「まあ、あいつが渋ったとしても他にも情報を手に入れるルートはあるので大丈夫ですよ」
そう姫様に言った俺は、その資料を見て頼みたい事が決まったら連絡を下さいと言って宿に帰宅した。
帰宅後、朝早くから連れて行かれた俺を心配してクロエ達が宿で待機していたので、何で連れて行かれていたのかをクロエ達に伝えた。
「えっ、それじゃあ竜人国の人達が魔王軍との戦いに出てくるの!?」
「ああ、俺も聞いた時は驚いたよ」
「参加を決めた動機はいいとして、竜人国が味方に入るのは心強いな。俺達に向いてた期待も竜人国が背負ってくれると思うから、今よりかは過ごしやすくなりそうだな」
レンの言葉に俺は「そうなってくれる事を願ってるよ」と言い、話し合いは終わり今日は皆と一緒に空島に移動して訓練する事にした。
最近、めっきり刀術にのめり込んで魔法戦をしなくなった俺は、久しぶりに魔法での戦いの感覚を取り戻そうと思い。
俺一人対クロエ達三人で、俺は魔法だけで戦うというルールの模擬戦闘をする事にした。
三対一という構図に対して、クロエとレイは不満そうな顔をした。
「二人共、不機嫌そうにしてるけど相手は三人の魔女を相手に訓練してたジンだぞ? いくら俺達が強くなっても、魔女を超える事は出来ないだろ?」
「それをいわれるとそうだけど……」
「それにジンが俺達相手に戦って、勝って気持ちよくなりたい奴じゃないのは分かってるだろ」
そうレンから言われたクロエ達は、反省して「ごめんねジン君」と謝った。
「気にしてないよ。それに俺も言葉が足りなかったのを謝るよ。ごめんね」
お互いに謝った俺達は改めてルールの確認をして、日が暮れるまで模擬戦闘を行った。
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