第139話 【ルバドと迷宮へ・1】
ルバドから同行依頼を受けた夜、俺は皆を集めてルバドの話をした。
「リーザさんのお爺ちゃんの頼みなら、私もついて行くよ!」
「私も行く! それにずっと動いてなくて、体動かしたいと思ってた所だったの!」
「俺も行くよ。丁度、そこのダンジョンに欲しい物があるみたいだし、序に取りに行きたい」
と、皆も参加する事になり次の日、俺はルバドにクロエ達を紹介した。
「初めまして、儂はリーザの祖父のルバドという者じゃ。今日は儂の為に一緒について来てくれて、感謝するぞ」
「リーザさんにはいつもお世話になってますので、その少しでもお返しがしたかったので」
クロエ達とルバドが挨拶を交わしていると、リーザが俺の方へと寄って来た。
「ごめんな、爺ちゃんが世話になる」
「リーザには世話になってるからな、それにずっと休みってのも体に悪いからな」
見送りに来たリーザにそう言った後、俺は馬を走らせ王都から出発した。
向かう途中、ルバドは馬車内で皆と楽しそうに喋っていた。
リーザは少し人当たりが強い感じだけど、ルバドは全然そんな事無く、皆も話しやすそうだな。
その後、特に問題も無くダンジョンに着いた俺達は、ここに来るまでにポジションの確認をしてたのでその陣形を作り中に入った。
まず前衛は、レイとルバドの二人に任せ、後衛にクロエとレンを配置して、俺はいつも通り全体を見つつ指示を出したり、攻撃に参加する。
「レイ、ルバドさんとはじめて組むから最初はサポート重視でいくから、ある程度慣れたら二人に任せるぞ」
「は~い、ルバドさんよろしくね」
「うむ、よろしくのレイ」
ここから見ると、祖父と孫が一緒に歩いているような感じだな。
「さて、いくらそこまで難しくないダンジョンとは言え、油断は禁物だ。皆、怪我をしないように進むぞ」
「「はい!」」
それから俺達はダンジョンの奥へと進み、早速魔物と遭遇をした。
レイとルバドは同時に【身体強化】を使い、魔物へと接近して戦い始めた。
そのレイ達に近づこうとしている魔物に対して、クロエに指示を出して倒させ、俺は周りの確認をしながら前に出て魔物へと攻撃を仕掛けた。
今回の魔物は少し数が多かったが、ルバドの加入によりすんなりと魔物の殲滅が終わった。
「流石、銀級冒険者ですね」
「ふふんっ、儂は動ける爺じゃからな、この位は朝飯前じゃよ」
ルバドを褒めると、嬉しそうに笑いながらそう言うと、俺の横にレンがスッと寄って来た。
「さっき、魔物が爆散したように見えたけど、あれって幻覚?」
「いいや、幻覚じゃない。ルバドさんの拳の威力はマジでヤバいからな」
そう聞くと、レンは「俺の妹以外にも居たんだな……」とポツリと呟いた。
その後、魔物と何回か戦闘を行い、レイとルバドの連携がかなり仕上がって来たのを見計らい、目的の場所へと移動を始めた。
今回の目的地は、このダンジョンの中層だから今の場所からだと大体一時間くらいだろう。
「まっ、焦る必要はないだろうからゆっくりと行くか」
そう言って俺は皆に指示を出して、目的地へと向かった。
「ねえ、ジン君。ルバドさんって固定のパーティーに入ってたりするのかな?」
攻略を始めて30分程が経ち、後ろに休憩しにきたレイがそんな事を聞いて来た。
「聞いた話だと、特定のパーティーや仲間はいないらしいぞ。偶に知り合いとダンジョンに行く事はあっても、その時だけで組んでるみたいだ」
「そうなんだ。じゃあ、仲間に誘ったとしても来ない可能性のが高いか~……」
そう言ったレイに俺は「ルバドさんを仲間したいのか?」と聞いた。
「居たら楽しいかなって、ほら前にジン君も言ってたでしょ? メンテナンスする為に王都に戻ってくるのが偶に面倒に感じるって、ルバドさんが居たら旅先でも装備の手入れはしてくれそうだしな~って」
「成程な、まあでもそれは無理だと思うよ。ルバドさん、リーザが心配で王都からはあまり出ないらしいんだよ」
実の息子が金を盗んだような形で旅に出ていき、それ以来ルバドはリーザの近くにいて見守っていると聞いた。
「それにメンテナンスは面倒だなって感じるけど、それは姫様へのお話のついでにすればいいからな、今は鍛冶師を探そうとも思ってないよ」
「そっか、まあルバドさんにはルバドさんの人生があるもんね」
レイはそう言うと、休憩を終えて元の場所に戻った。
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