第113話 【事前準備・3】
それから今日の食事当番は俺になり、【異空間ボックス】から食材を取り出して料理を始めた。
最初から難しい物を作って失敗するというのは、よくある話なので俺はこの世界でよく食べられる肉と野菜の炒め物と野菜スープを作る事にした。
「わ~、美味しそう。ジン君って本当に、なんでも器用に出来るから羨ましい……」
「これそこまで難しい料理じゃないぞ? 焦がさないように炒めて、味の調整をしながら作った汁物だからな、誰でもできる物だよ」
そう言いながら俺は内心、ちゃんと出来てホッとしている。
料理なんて本当に久しぶりにするから、注意深く焦げてないかを確認しながら作っていた。
というか、人に料理作るなんて初めてでちょっとだけ緊張していた。
「どう、美味しいか?」
「うん、美味しいよ!」
「よ、良かった。味付けちゃんと出来てるか、不安だったんだよな……」
そう言いながら俺も食べると、意外と悪くない味をしていて失敗せずに済んだと安心して食べた。
うん、悪くない味付けだな、でももうちょっと濃い味でも良かった気がするな、まあ75点って言った所だな……。
そんな風に自分の料理を採点しながら、食事をして食後は再び狩りに出かけた。
「おっ、金塊ゴーレムだ。ほんと、俺達こいつと会う確率高いな」
「本当だと、こんなに沢山出ないんだよね?」
「ああ、こいつが沢山出てたらこのダンジョンの人気はもっと上だろうしな」
そう俺達は話しながら金塊ゴーレムを討伐すると、かなり大きいサイズの金塊が出て来た。
おいおい、これってまさかまた〝特大サイズ〟じゃないか?
「じ、ジン君。このサイズってリーザさんに渡した物と殆ど一緒じゃない?」
「自分達の運が怖くなってきた。こんな簡単に特大サイズの金塊、普通は出ないぞ……」
俺とクロエは二度目の〝特大サイズの金塊〟を手にして、自分達の運が壊れてるんじゃないか? と思い始め、その日は怖くなって早めに狩りを終わる事にした。
それにしても〝特大サイズの金塊〟か、流石に二個目は使い道が売る以外にないけど、これを売ったらまた目立ちそうだな……。
「一旦、この金塊はリーザに見せて、リーザが欲しいって言ったらリーザに売る事にしようか、要らないって言われたら取り敢えず保管しておこう。変に売って、目立つのは嫌だからな」
「は~い、今すぐ売る程、お金には困ってないもんね」
クロエも俺の意見に同意してくれて、取り敢えず金塊はリーザが欲しくないと言ったら保管する事に決めた。
そしてそれから数日間、俺達はダンジョンに籠り狩りをして王都に戻って来た。
「どうでしたか、久しぶりのダンジョン探索は」
「良かったです。自分達の成長をちゃんと確認出来ました」
戻ってきた俺達は冒険者ギルドで素材の換金をして、フィーネさん達にダンジョン探索での事を話していた。
「あの、クロエちゃんに聞きましたけど、料理を二人ははじめたんですよね? でしたら、こちら何か役立つと思いますから、よかったらどうぞお使いください」
先に相談室でダンジョンでの事を話していたクロエは、リコラさんに料理をするという事を話していたみたいだ。
そしてリコラさんは俺達が料理をはじめたならと言って、料理のレシピ本を渡してくれた。
「そちらはジンさん達と同じ冒険者の方が書いた本で、冒険者がよく食べる料理が書かれた本なんです。色んな食べ物が載っていて、料理初心者の方でも簡単に作れる物ものっていていいと思うんです」
「ありがとうございます。料理のレシピ本、丁度欲しいと思っていた所なんで有難く使わせてもらいます」
「ありがとう、リコラさん!」
そう俺は言って俺とクロエはリコラさんにお礼を言い、【異空間ボックス】に料理のレシピ本を入れた。
それから俺達はギルドを出て、金塊の事を話す為にリーザの店へと向かった。
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