第107話 【訓練の成果・3】


「はあ、はあ、はあ……もう無理~……」


 あの後、俺とクロエの魔法の攻防は数十分続き、クロエは先に魔力が枯渇して倒れながらそう降参の言葉を口にした。

 倒れる寸前、リオンがサッとクロエを抱え、ソッと地面に座らせた。


「クロエ、本当にいい試合だったよ。魔法に関して言えばジンとの差は、殆ど無かったと私の目には見えたよ」


「ありがとうございますリオン様……」


 リオンに褒められたクロエは、そうお礼を言うと近づいて来た俺に視線を向けて「ジン君、負けました」と清々しい顔でそう言った。


「リオンさんが言った通り、俺との差は殆ど無いように感じたよ。剣術も魔法も、出会った頃に比べて本当に成長したと思う。俺がこんな事言うと失礼だけど、頑張ったねクロエ」


「ありがとうジン君」


 それから俺達は、観戦していた姫様達に拍手を送られ、訓練の成果を確認する為の模擬戦闘は終わった。

 その後、場所は移動して俺が借りている部屋にクロエと集まり、互いのステータスを見せ合う事にした。


名 前:ジン

年 齢:12

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男

属 性:火・水・風・土・光


レベル:38

筋 力:914

魔 力:2841

 運 :76


スキル:【鑑定:3】   【状態異常耐性:3】【剣術:5】

    【魔力強化:5】 【火属性魔法:4】 【水属性魔法:4】

    【風属性魔法:4】【土属性魔法:4】 【光属性魔法:4】

    【魔力探知:4】 【身体強化:4】  【瞑想:4】

    【体術:3】   【気配察知:2】  【刀術:4】

固 有:【成長促進】【異空間ボックス】

能 力

称 号:神童 加護持ち 銅級冒険者

加 護:魔法神の加護 武神の加護 剣神の加護


名 前:クロエ・フィストル

年 齢:13

種 族:獣人

身 分:平民

性 別:女

属 性:風 水


レベル:29

筋 力:1003

魔 力:843

 運 :81


スキル:【剣術:3】   【体術:3】  【身体強化:3】

    【夜目:5】   【魔力探知:4】【気配察知:5】

    【罠解除:3】  【警戒心:4】 【風属性魔法:4】

    【水属性魔法:3】【魔力強化:3】【魔力解放:2】

固 有:【獣化】 【覇気】

能 力

称 号:英雄の子 加護持ち 銅級冒険者

加 護:獣神の加護


 うん、クロエの訓練内容から魔法寄りにステータスが成長してるだろうとは思っていたけど、新しいスキルを2つも覚えていたのか。

 というか、俺も持ってないスキルもクロエは覚えているな。


「なあ、クロエ。この【魔力解放】ってスキルはどんなスキルなんだ?」


「あ、これはね。レーヴィン様に教えてもらったんだ」


 クロエはそう言うと、スキルの内容を教えてくれた。

 スキルの効果は単純で自分の持ってる魔力を倍消費する代わりに、威力も倍になるという効果。

 まあ、単純だけど結構使えそうなスキルだな。


「このスキル、ジン君の戦いでも使ってたんだよ。気付いてた?」


「なんとなく、威力が強いのは感じていたけど、ずっと訓練を頑張っていたからそれのおかげと思ってた。でも、このスキル俺も欲しいな……」


「レーヴィン様曰く、ジン君の場合は今のまま伸びた方が絶対に良いって言ってたよ。私はほら、魔力が少ない分それを補う為に覚えた事だけど、ジン君は魔力も多いし、魔法センスも良いからそのまま伸ばすって言ってたよ」


「……レーヴィン様、弟子じゃないって言ってるけど、殆ど弟子扱いでしてくるからな。まあ、気に入られて悪い気はしないけど、変にそれで目立つのは嫌なんだよな……」


 本人も弟子では無いと口では言うが、扱いが俺だけ特別に扱ってきている。


「ジン君って目立ちたくないって言ってるけど、周りが目立たせるように動いちゃうもんね」


「ああ、偶に自分でやらかす事も多いけど、冒険者の件に関しては完全にアスカのせいだしな……」


 偶に自分の行動でもおかしな所があったなと、後で反省している。

 ただ基本的に目立つ要因がやってきて、対処できずにそのままという事の方が多い。

 冒険者の昇格や、レーヴィンとの魔法訓練などがそれに当たる。

 その後、ステータスの確認を終えた俺達は、今後の事を少し話してまた訓練を頑張ろうと言って解散した。

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