第46話 【姫様の実力・2】
その後、ティアナも同じ席に座り一緒に食事をする事になった。
「あの、そう言えばティアナ様の護衛の人って今はどうしてるんですか?」
「私には護衛は付いてませんよ。おじい様はつけるべきだ! と抗議してましたけど、お父様が自分を守るのも一つの訓練と論して護衛がついてないんです」
「……公爵家で護衛がついてないって、珍しいというか他に例はないんじゃないですか?」
「一応、私のお父様も学生時代は護衛の方は居なかったらしいですよ。それに学園もそこまで警備が手薄ではないですから、そこまで不安じゃないですよ」
ティアナは微笑みながらそう言うと、姫様の方を見て「姫様は逆に護衛はいらないって抗議してましたよね」と昔の事を暴露した。
「ええ、だって城でもずっと誰かに見守られてるのに学園でもされたらいやじゃない? まあ、今は慣れたし逆に居た方が楽な時もあるけど、最初の頃は猛反対していたわ」
「凄かったですよね。お父様相手に魔法で対抗したりして、お父様言ってましたよ。姫の相手は、魔物数百体相手するよりも難しかったって」
「凄いですね。リオン様にそう言われるなんて、どのくらい暴れたんですか?」
「そこまで暴れてないわよ……ちょっと城の三分の一が消し飛んだくらいよ」
この話をゲームで知っていたから、俺は姫様の印象が〝おてんば姫〟というので固定されている。
今でこそ偶に変な行動をする程度で収まっているみたいだが、この他にも姫様は色々とやらかしている。
「それ、ちょっとという規模じゃないですよ」
「……私にとっては、ちょっとよ。もう良いでしょこの話は、今はちゃんと大人しくしてるんだから」
「大人しく……まあ、これまでの姫様と比べたら確かに大人しくはなってますね」
ティアナがそう言うと、姫様は「はい、じゃあこの話は終わり」と無理矢理話を終わらせた。
「そう言えば、午前中のテストの時間ティアナ様を見かけなかったという事は、ティアナ様は姫様と同じクラスじゃないんですね」
「ええ、私は魔法科クラスなので姫様とは別のクラスなんです。姫様も誘ったんですけどね」
普通科、戦士科、魔法科の3つがある。
姫様は特に勉強したい事は無かったらしく、卒業まで普通の勉強でいいと言って普通科を選び。
ティアナ様は家系が家系なのと、魔法が好きという事で魔法科を選んだらしい。
「専門的な事学んでも私には使う機会はないだろうから、それなら普通科でいいと思ってこっちを選んだのよ」
「入学当初、姫様には魔法の才能があるのにもったいないとお父様が嘆いてましたね。お父様のあんな姿を見たのは、あの時が最初で最後です」
「……あの時は本当に面倒だったわね。入学して一月の間は、変えられるからといってずっと付きまとわれて面倒だったわ」
姫様は溜息交じりにそう言うと、ティアナは「それだけお父様は期待してたんだと思いますよ」と姫様に言った。
「期待されても使う場面ないから仕方ないじゃない。ちゃんといったわよそのクラスに入るなら、外出許可を自由に頂戴って、そしたらそれは駄目だって言われたから普通科を選んだのよ」
「まあ、姫様の言い分も理解出来ますね」
「そうなんですよね。だから私も強く言えなくて、結局クラスは別々になったんです。ただ私のクラスは基本、人数が少ないので姫様のクラスとはよく合同で授業をするので特に寂しくはないんですけどね」
魔法科は3つのクラスの中で、最も入学の選考が厳しいとされているクラス。
魔法の実力は勿論の事、総魔力量や勉学にも秀でていないと入れない。
その後、食事を終えた俺達は食堂を出て、実技テストの為に外の訓練場へと向かった。
「へ~、テスト前にも魔法の練習出来るんですね」
訓練場には既に生徒がおり、魔法の訓練をしている者がチラホラと居た。
ふ~ん、これが学園の魔法のレベルか……。
「あら、退屈そうね。やつぱり、ジュンからしたらレベルが低いかしら?」
「そんな事、一言も言ってませんよ。ただまあ、実戦的な魔法を使う冒険者とはまた違った魔法だなと思っただけですよ」
そう俺は生徒達の魔法を見て、本当に思った事をそう口にした。
俺達冒険者が使う魔法は、見た目よりも実戦でより使えるようにと工夫をされている。
例えば火の魔法で言うと、俺達冒険者は〝速さ・攻撃力〟を重視した使い方をしている。
だが生徒達が使ってる魔法は〝美しさ・大きさ〟といった見栄えを考えた魔法を使っている。
「馬鹿にしてるつもりはないですけど、あんな魔法を教えてどう役立つんですか?」
「あれも一応は戦いで使うようの魔法よ」
「……マジですか?」
ゲームでは学園の授業何て、そこまで細かく書かれて無かったから知らなかったけど、あんな魔法を教えてどう役立つんだ?
そう俺は疑問に思いつつ、先生達がやって来てテストが始まったので姫様の近くでテストを見る事にした。
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