第34話 目が覚めて

赤の魔法少女と部下の力が衝突した後、宇宙人とボスは白い空間に閉じ込められる。




宇宙人とボスが若干いちゃいちゃしだした、その時、白い空間は歪み、ボス達は現実世界に引き戻される事になる。




「やっと起きましたか。」




ボスが目を覚ますと、薄くぼんやりとした視界に部下の顔が映る。




頭に優しい感触を感じる。ボスは部下に膝枕をされている事に気づいた。




さらに意識が戻ってくるにつれ、ボスは自分の体の異変に気づく。




右のふくらはぎが信じられないほど痛む。


血液の流れる度に、その痛みをボスは強く感じていた。




「なぁ、部下。俺になんかしたか?」




ボスは元凶に尋ねる。




「ボスが全然起きないのが悪いんですよ。」




部下はぷいっと横を向き、


それになんか悔しかったんですよね...。と不思議そうにつぶやいた。




「なんで悔しさなんて感じたんだろうなぁ。」




ニヤニヤした宇宙人の声が聞こえる。


その言葉に思わず微笑んでしまうボス。




「なんか2人とも楽しそうですね。」




部下が怪訝な表情で2人を見る。


まぁまぁ落ち着きなさいよ。と言いながらボスは立ち上がった。




「私からすると3人とも楽しそうに見えるわよ。」




少し離れた場所から、その様子を見ていた赤の魔法少女が話しかける。




ふとボスが、赤の魔法少女の方に目を向けると、既に青と緑の魔法少女はおらず、赤の魔法少女が1人で椅子に座っていた。




「あれ、他の2人は?」




ボスが、赤の魔法少女に話しかける。




「2人とももう帰ったわよ。」




赤の魔法少女はぶっきらぼうに答える。


あなたも帰ってくれていいんですよ。と、部下が言い放つ。




「いくら敵対する人間でも、こうなっちゃった原因は私にもあるし...。」




別にいたっていいじゃない...。赤の魔法少女は少ししょんぼりとした様子で呟いた。




まぁまぁ、と部下をなだめるボス。


赤の魔法少女は気を取り直し、すっと立ち上がる。




「とりあえず、あんたも命に別状はないみたいだし、私も帰ろうかしら。」




赤の魔法少女はそう言うと、扉に向かって歩き出す。




「まぁ、今日は見逃してあげますよ。」




部下は、憎まれ口を叩く。


赤の魔法少女が、扉につく直前、突如ドアが空き、黒服の男が入ってきた。




「ボス!ここにいましたか!」




男は、洗濯室を見回して、ボスを見つける。




「って、えぇ.....。なんでこんなボロボロなんですか。」




ボスの背後にある洗濯室の惨状に、驚く黒服の男。




「まぁ色々、あったんだ。ところで何の用だ?」




ボスは黒服の男に尋ねる。




「ボス、避難訓練の季節がやってきましたよ。早速、始めるんで準備しといてくださいね。」




それじゃ、と言って黒服の男は洗濯室を出て行く。




赤の魔法少女は首を傾げる。




「あんたの組織でも避難訓練なんてやってるのね。」




少し感心したように赤の魔法少女は言い、2人を見る。




しかし、2人の雰囲気はさっきまでとは全く異なる物になっていた。




え?え?と困惑する赤の魔法少女。




「部下。準備に参加してきなさい。」




ボスは、本気の口調で部下に指示を出す。




「えぇ、わかりました。」




部下もさっきまでとは別人のように、黒く澄んだ視線でボスを見つめる。




その数秒後、部下は赤の魔法少女をするりと通り抜け、扉から出て行く。




「え?これはどうなってんの?」




赤の魔法少女はたまらず問いかけるが、答えは返ってこない。




「そうだ、魔法少女。折角だから、君も参加するといい。」




部下についていってくれ、そう言うが早いが、ボスは赤の魔法少女を扉から追い出す。




閉め出された赤の魔法少女はえぇ〜...。と言う事しか出来ぬまま、少し離れた位置に見える部下の背中を追いかけた。

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