第21話 黒いワンピース

巨悪はざわめいていた。


女帝の部下達は、目の前に映っている光景を信じられなかった。




あの女帝がおめかしをしている。


いつもスーツ姿で表情一つ崩さない、あの女帝が。




さらに、部下達の目に映る女帝は隠しきれんばかりの笑顔であった。




うふふ...と少女のように無邪気に笑う女帝を見て、部下達は背筋が凍っていた。




明らかに何かが起こる前触れだ。




女帝は、留守を頼むぞ!といつもなら信じられないテンションで言うと、外へ飛び出した。




女帝のアジトの中は1秒の沈黙の後、騒然とした。
















所変わって、ボス達のアジトでは平和な時間が流れていた。




ボスの部屋には絞るものを絞り終え、艶やかな部下と茫然自失のボスが、アジトの中では、宇宙人とアイズが探検をしていた。




その中で、1人。宇宙人だけがこれから起こる衝動を予感していた。




なぁ、アイズ。と宇宙人は語りかける。




「これからこのアジトに誰かが来るようだ。大した事ではないんだが、ちょっと事情が複雑でね。その人に私が見つかると、色々ややこしそうだから匿ってくれないかな?」




のんびりと話す宇宙人。


わかりました、任せてください!そう意気込むアイズ。




「まぁ、本当に匿うべきなのはボスの方なのかな〜。」




小さい声で楽しそうにポツリと呟く宇宙人。


その声は誰にも届かなかった。
















ピンポーン。


アジトの中で突然インターホンが鳴った。




アジトの中の全員が即座に一斉に武装する。


このアジトに訪ねてくる人間など今まで1人もいなかった。




そして、インターホンがあることすら、ここにいたほとんどの人間が知らなかった。




そこから導き出される結論。ボスの部下達は全員未知なる何かに怯えていた。




全員が所定の位置につく、部下の1人がインターホンが鳴った扉の前まで行く。




一応の保険として、防弾ゴーグルをかけ、覗き窓から扉の外を覗く。




「うわぁぁぁぁぁ!!!!」




扉の外を覗いた部下は大声を上げ、尻餅をついた。




おい!一体どうしたんだ!?


口々に叫ぶボスの部下達。




「綺麗なお姉さんがいる。」




彼は呟いた。




扉の前には黒いワンピースを着た綺麗なお姉さんが立っていた。

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