第三章

完全血統者

「生きてるって言うより、死んでるはずなのにな。」


痛い

身体中が痛い

起きなきゃ

でも、なんで?


「おはよう」


「ッ!?」


反射的に体が動く。

横にあるはずの銃に手を伸ばして、彼を見た。


「やっぱり。普通よりなにか違うね?」


(強化外骨格。色は黒?って、これ。昨日の!?)


砂漠からの記憶が雪崩のように頭へ来る。

全て思い出す頃には地面に少し体を休ませるように座っていた。


「貴方は?」


「ああ、俺は…いや。そんな事より治療が先だろう?」


「治療?」


確かに必要かもしれないが、今はそんな事よりあの怪物を優先した方がいい。

あの、怪物。

白い毛並みのキリンは一体…


「居ない…」


ビルを見た。

結合部を溶かされたか、別の物質に変換されたのかはわからないが。あんなの…自然の生物にできる芸当ではないのは確かだ。

そして、振り替えってみた。

居なかった。

つまり、生きていた。


「居なくなった。なぜかはわからないが、あれは普通のX型より行動原理が別か…出現時間を超過したかのどちらかだと思う」


「助かったって事?」


「まあ、そうだな。とりあえず、町まで送るよ。これでチャラにしてくれないか?」


「良いわよ。別に最初からそんな目的じゃないし」


「…なるほど。そりゃそうか」


彼は納得した様子で手を出した。

それを掴んで彼女は体を立たせた。

足の骨が響くように痛い。折れてはなさそうだ。


「まずは、荷物まで案内してくれないか?」


「わかった」


そう言い砂塵が舞う歩き道路を歩き始めた。

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