第119話 作戦会議
「キャロル、入って来い」
少し大きな声で呼ぶと、廊下で待っていたらしいキャロルがドアを開けて入ってきた。
なんだか浮かない顔をしている。
「殿下、よくご無事で……安心いたしました」
ミャロが向き直って挨拶をする。
「あ、ああ……ミャロも、元気そうでよかった」
「??」
ミャロは、不思議そうな顔でキャロルを見ていた。
いつもと、なにか様子が違うと思ったのだろう。
「キャロル、ミャロ、座れ」
「はい」
俺が言うと、一人がけの椅子とソファに別れ、全員が座った。
「一人欠けてるが、幹部会議だ」
「リャオさんは現在、隊を把握しています。一人はいないと混乱してしまいますから」
ふむ。
まあ、隊の現状の話はおいおいでいいか。
それより、報告を聞く前に、幾らか伝えておく必要があるだろう。
「先ほど、帰ってきた時に王配から話したいと言われた。あと……」
俺は時計を見た。
「おおよそ三時間後だな。それまではここから動けん。さすがに断るわけにもいかないしな。身分上、キャロルも参加させる」
おそらくキルヒナの王族と最後に会う機会になるのだろうし。
キャロルの立場から言って、このタイミングで城にいるのに、王配にちらと会っただけで、女王とは顔も合わせず完全スルーして帰る、というのは、あまりにも無礼な話だ。
幾らなんでもそれはない。
「そうなんですか。どのみち、隊の撤退準備は明日の朝までかかります。出発は明日の早朝がいいでしょう」
「そうだな。お前はこの会議が終わったらすぐに戻り、準備にかかってくれ」
「了解です」
ミャロにとっては言われるまでもないことだろうけどな。
「それと、俺とキャロルは、二人とも片足を負傷している。走れない状態だ」
「怪我、ですか……。鳥や馬に乗れないといった事ではないんですよね」
「それは大丈夫だ。杖をつく必要があるのと……あとは乗り降りに介助があると有り難いがな」
「安心しました。障害が残るということもないんですよね?」
「たぶんない」
「じゃあ、ええと……軽く、遭難してからの経緯を聞いてもいいですか?」
「気になるのか?」
積もる話は今する必要はないような気がするが。
「それほど重要ではありませんが……隊員の方々にとっては最も興味ある話題ですから。提供しておくことに意味はあると思います」
そりゃそうか。
俺たち幹部のほうは、先のことばかり考えているが、兵のほうは違う。
ミャロが戻ったら、最も聞きたがる話だろう。
つまらない妄想や作り話が広がっても良くない。
「じゃあ、簡単に説明する」
「はい」
なんだかんだ、やっぱりミャロも興味津々らしく、目が輝いている。
「墜ちた時、キャロルが酷く足を捻って歩けなくなったから、キャロルを背負いながらニッカ村まで歩いてきたんだ。そこで手紙を見つけたのが……五日前くらいか。それから数日待って、偵察に来た騎馬を家の中に誘い込んで、家ごと潰して馬を盗んで、そしたら音を聞いて駆けつけた王剣が来て……そんな感じだ」
本当にかいつまんだ説明だな。
「ユーリくんの足の怪我は?」
「あいつら、鷲で放火されたのがよっぽどトサカに来たらしくてな。追ってきたのと戦ってるうちに負傷した」
「お話によると、ユーリくんを追っていたのはドレイン伯の隊になりますね。二百人からの部隊と聞きましたが」
耳を疑った。
最初に俺がひっつかまえ、拷問まがいの真似をして聞き出した情報に、そんな名があった。
ドレイン伯。
カンカーの上司、というより社長……というのもやっぱり変だが、そのような存在だ。
聞き覚えがある。
「なんでそんな事を知ってるんだ」
「そのくらいは……。あとで報告しようと思っていたんですが、こちらも海際を捜索したりしていたんです。そのとき捕らえたペニンスラ王国の斥候が、やはりユーリくんたちを探している部隊で、彼らから聞き出しました」
どうも、俺と同じように、戦闘をして得た捕虜から……どの程度傷めつけたのかは知らんが、聞き出したらしい。
「戦闘があったのか」
「はい」
「死者は出たのか」
「いいえ。しかし、駆鳥が二羽損失、負傷が三名出ました」
「重症は?」
「いいえ。いずれも矢傷や打撲、骨折程度です。重症はいますが、足や腕などを失った者はありません」
「そうか……」
「……怒りますか?」
怒りますか? と、奇妙な問いを発したミャロには、自責や悔恨の色は見えなかった。
失敗に対する許しを乞うているわけではないのだろう。
ミャロにとって、その判断には負い目を感じない、ということか。
俺を納得させる理由があるに違いない。
「いや、死体や障害者が出なかったならいい。事情は聞きたいがな」
「
やっぱりそうか。
大方、ただ待っているだけなのが耐えられなかった連中が暴走しかけていたのだろう。
暴走とまでは行かないまでも、突き上げが激しくなっていた……とか。
そういった気配は、特に鷲に乗れないカケドリ連中の中で、決戦の前から微妙に漂っていた。
本来であれば、決戦を前に
そいつらが、純粋に出世欲や野心で動いているならいいが、この状況ではやはり正義感のほうが刺激されるものなのだろう。
「リャオもその意識か?」
「はい」
「それならいい……。にわか軍隊にはそういうのも必要だったんだろ」
本物の軍隊でそれだったら噴飯物だけどな。
「はい。ありがとうございます」
「後で詳しく話を聞くからな。話を続けよう」
「わかりました。じゃあ……どの程度の追手が来たのですか?」
「実際に俺の足を追ってきてたのは……えーっと、全部で十一人……その前に来た奴も含めると、十三人か」
「よく逃げ切れましたね」
「人一人背負ってちゃ逃げ切れないだろ……」
そもそも、逃げ切れないって分かってたから森を歩いたんだし。
逃げ切れるなら街道を使えてた。
「えっ……何人か倒したんですか」
「えーっと……」
俺は指折り数えていった。
「九人、十人……その前後で殺した奴も含めると……」
偵察四人に、竜騎士を数え、指を更に五つ折った。
「十五人か」
殺しに殺したもんだ。
「じゅ、十五人ですか……流石です」
「さすがでもなんでもない」
ミャロは、驚きと喜びが入り混じった顔をしている。
温度差を感じるな。
「いえ、でも……」
「殺した数なんて自慢にすんのは、そこらのチンピラだけだろ」
あれは、気持ちのいいもんじゃない。
キルヒナに愛着とか愛国心があれば憎みもするし、憎んでいれば気がスッキリもするのかもしれないが、そうでもない以上、殺しても面白みはなかった。
「でも、それが栄誉になるのが戦争です」
「誇りには思わん」
「それは関係ないですよ。他人が褒めてくれ、ホウ家は鼻が高い。それが、街の不良が喧嘩で人を殺めた場合との違いです」
「……まあ、そりゃな」
ミャロの言っていることはわかるが、どうも実感はわかない。
戦争で人を殺すことが武人の栄誉ではない世界に身を置いていたからだろうか。
しかし、ミャロの言うことは、間違いなく正論だった。
十五人殺してのけたというのは、ホウ家からしてみれば誉れに違いない。
「でも、自慢にしないというのは素敵ですよ。他人から見ても」
暴力をしたことを偉ぶるというのは、程度が低く見える、みたいなことだろうか。
どうでもいい。
「適当に説明しておいてくれ。俺への反感が強まって、背反が起こったりしなければいい」
言うまでもなく、ミャロだったら上手いことやるだろうけどな。
なんだかんだ、俺が余計なことをしたせいでこういう事態を招いたことについては、キレてる奴も多そうだ。
黙らせる効果はあるだろう。
「わかっています。これほどの材料があれば容易だと思います」
「このへんで、俺たちのことはいいか。それより、現状の話を聞きたいんだが」
「はい。お話を逸らせてしまって申し訳ありませんでした」
***
「まず、敵の話から始めたいと思いますが……」
「頼む」
「敵の進軍速度から考えて、敵本隊がリフォルムに辿り着くには、あと四日はかかるようです。包囲を完成させて陣を敷くのに一日かかるとして、本格的な攻撃は六日後あたりになるでしょう」
四日後、か……。
「それは、どこが出した数字なんだ?」
「もっとも濃密に鷲を飛ばしている、キルヒナ軍です。現在、キルヒナの四将家のうち三家までがリフォルムに篭り、これは実質的に王配の指揮下になっています。最後の一つは独自に行動しており、クォナムに入りました」
「クォナムに入ったのか。じゃあ、敵さんはあっちを先に叩く必要があるんじゃないのか?」
クォナムはリフォルムの北側に位置している街で、ここに大軍が置かれていると、場合によっては攻囲中に背中から襲われる危険がある。
リフォルム近辺は海沿いであり、街道も混み合っているので、退路や補給線を絶たれるわけではないが、背中に敵がいるというのは嫌なものだろう。
「そちらには、別に一軍を差し向けたようです。ユーフォス連邦の軍が向かっています。ただ、クォナムを攻略できるほどの大軍ではないので、積極的に戦うつもりはない、と考えられているようです」
ふーん。
攻城戦はせず、出てきたら倒す、というスタンスか。
よく城攻めは守る方の三倍兵が必要、だとか言うが、城は攻めず、出てこないようにする。というだけなら、その理屈は成り立たない。
クォナムは北方の内陸都市で、ヴェルダン大要塞と違い、補給線を絶つ位置には存在していない。
数を割いたことでリフォルム攻略には不利になるだろうが、敵軍にとって致命的な負担とはならないだろう。
篭っているといっても、せいぜいが千人かそこらだろうし、そもそもが野戦で撃破した残党だ。
同じ千人でも、完全編成された千人と、欠員が大量にある隊がゴチャゴチャいるのが千人、というのでは、意味が違ってくる。
「そうか。どのみち、明日出発できるのであれば、巻き込まれずに帰れそうだな。海沿いにメシャルからホノンをつたって、ホット橋を渡ればルベ領だ」
ホット橋は、陸路でシヤルタ―キルヒナを移動する際に、一般的に使われる橋だ。
上流のズック橋より道幅があり、川幅が広くなった下流を渡している。
リフォルムを出、海を見ながら道なりに街道を進むと、シヤルタとキルヒナの国境となる川の河口があり、そこの少し上流にかかっている。
「ホット橋は大渋滞のようで、三日ほど順番待ちという話です。上流の、ズック橋を考えていました」
「三日だと? なんでそんなことになってるんだ」
ホット橋は、馬車一台がようやく通れる程度のズック橋と違い、幅が三メートル少しあり、馬車は簡単にすれ違える。
現在は一方通行で使えるわけだから、何日も待つというのは、大変な混みようだ。
「撤退しているシヤルタの元援軍部隊が、避難民とゴタゴタを起こしていたりして、流れが滞っているというような話を聞きました」
「あぁ……」
情けないこっちゃ。
軍が避難民を押しのけようとしたりして、どっちが先かとかで揉めたりしてんだろうな。
めんどくさ。
「まあ、それは後から考えよう。分かれ道に差し掛かったところで、鷲を差し向けて確認してもいいんだしな」
海沿いの道からホット橋に行く少し手前に、上流方向へ向かう分かれ道があり、そこを進むとズック橋がある。
けっこう勾配のある登り道なので、丸一日程度かかるが、馬鹿騒ぎの一員に加わるよりはマシだろう。
避難民を押しのけて渡るというのは抵抗があるしな。
「そうですね。じゃあ、次に部隊の現状について話しても構いませんか」
「ああ」
「部隊は、予定では明日か明後日、撤退に移る予定でした。なので、荷造りなどは終えています」
そりゃそうだろな。
今聞いた話だと、あと三日もタイミングが遅れれば完全に巻き込まれるようだし。
「先ほど話した戦闘での負傷者は、馬車を渡して先に戻しました。一緒に、特に士気低下が激しい者を三名付けています。今はズック橋のところで渋滞に巻き込まれているかもしれませんが、まず帰れるでしょう」
「六人減ったか。じゃあ、カケドリは24羽だな」
「いえ、一羽余っています。負傷者の一人は、乗り手だけ負傷したので」
「ああ、そうか」
じゃあ、俺はそれを借りるかな。
本当なら、キャロルだけでも鷲に乗せてさっさと帰らせたいんだけど。
「じゃあ、鷲のほうは26羽26名、カケドリのほうは25羽24名ってことか」
「そうです。ただし、鷲は捜索のために飛ばしていたので、何羽か悪くなっているのが居ます」
「そうか……あー、面倒だな」
鷲は、来た時と同じように海峡渡りで戻すのが手っ取り早い。
だが、悪くなってしまっているのであれば、戻りの海峡渡りでは使用するのにリスクが伴う。
来た時にも何人か置いていったが、途中で飛べなくなった場合は乗り手共々溺れ死にという未来が待っているからだ。
「まぁ、いいか。その辺はどうとでもなるだろう」
鷲から降りても、陸路で帰れば良い話だし。
「これで一通り、報告は終わりです。なにか質問などはありますか?」
「いや、今のところないな」
すると、これで終わりか。
「それでは、あとは王配に呼ばれている件ですね」
「ああ、それがあったか」
忘れてた。
当たって砕けろというか、会って話をするだけと思っていたが、考えてみれば何か言われるかもしれん。
ミャロの意見は貴重だろう。
政治や政争に関してはプロフェッショナルだしな。
「このタイミングでの会見となると、なにか厄介な注文を付けられるかもしれませんが、それがなにかというのは、正直なところ分かりません。なにしろ、情勢がこの有様なので、最悪を考えるときりがありませんから……」
「どのあたりが最悪と考えてるんだ?」
一応、聞いておきたかった。
「えっ? えーっと……キルヒナの将家からの突き上げが激しく、実は王配が言いなりになっていて、将家からの要求で”観戦隊の兵を置いていけ”ですかね。あぁ、殿下を人質にして、シヤルタの大援軍を要求する、というのもあるかも」
若干、非現実的だが、ありえないことではない。
崖っぷちに立った人間というのは、常識で考えたらありえないような事を平気でしでかすからな。
窮した鼠は猫を噛む。
鼠は猫を噛んだりしない、という定規を構えているのは危険だ。
「……そのへんが最悪っちゃ最悪だろうな。ただ、連中は窮してはいても白痴になったわけじゃない。そこまでするつもりなら、逃げないように、今のうちからふん縛っておくだろう。それをやったら、俺たちが逃げ出すことくらいは想像できるだろうし」
「それはそうですね。ただ、ユーリくんの帰還は突然でしたし、現在では少しばかり状況が進行している可能性も……」
「あー、それはあるかもな」
とりあえず呼びつけておいて、現在いろんな種類のバカがアホな話をしまくっており、俺がのんびりしている間に、裏では着々と事態が悪化している。
今すぐ、または一時間後、俺とキャロルを捕縛しに兵がやってくる。
ありえる。
「でも、可能性としては、大したことは要求してこない、あるいは、なにも要求してこない。というのが一番高いと思います」
「そうだろうな。だから、誘いを蹴って帰るという選択肢はない。この状況で”脅されるのが怖いので会わないで帰ります”ってのは、さすがにビビり野郎すぎるからな」
「フフッ、それは、ボクもどうかと思います」
ミャロが笑った。
なんかちょっとウケたらしい。
「でも、何かを要求をしてくるとしたら、たぶん捜索について手を貸したことを、恩に着せてくると思うんです」
「そりゃそうだろうな。あまり助けられた実感はないが」
森のなかを通ってきたわけだから、向こうからしても手助けのしようがない。
医者を呼んでもらって、部屋を用意してもらったのは、現在進行形で助かっているわけだが。
「直接的にも、間接的にも、ユーリくんの脱出行に益する何かをした、ということはないと思います」
「そうだろうな」
実際、王剣以外は誰にも会わなかったし。
追撃を部分的にでも阻止できていた、というなら別だが、それもないだろう。
「でも、相手が恩を着せたと言い張れば、恩を返せという話になりますから」
「そうだな。ヤクザがよくやるやつだ」
「はい。ボクの実家がよくやっている手口です」
魔女の
「ふぅ……それで、部隊の食い物はどうなってる。リフォルムから出ているのか」
「それは、ルベ家が撤退する際、置いていったものを使わせてもらっています」
「そうか」
さすがに、食い物を供給してもらってたら、恩に着ないわけにもいかないからな。
だが、そのへんは自力でやっているらしい。
「それで、実は、ユーリくんの……ボクらの攻撃で、向こうの進軍が遅れたようなんです」
「……は? そうなのか?」
初耳だ。
といっても、教皇領がブチ切れる程度には戦果を出したらしいから、まあ多少遅れたことには遅れたんだろうな。
「ええ。教皇領の持ってきた物資が全部焼けたそうなので、工面に大変苦慮したとか。それで足並みが崩れ、遅延が起きたそうです。物資がなかったら補給ができませんから、置いてけぼりになりますよね。他の国ならまだしも、教皇領を置いて先に行くというのは、難しいでしょうから」
「そりゃそうだな」
べつに、教皇領のが焼けたところで、十字軍全体から見れば、物資の損失は一割かそこらだろう。
他の国から融通してもらいつつ、船で多めに運んで補充してゆけばいい話だが、連合軍というのはそれほど柔軟ではない。
最大単位となる国々は、それぞれ別の目的意識を持っている。
脳に支配され、同じ心臓で生きている手足のような存在ではない。
国のメンツの問題もある。
国を背負っては、頭を下げて周るというのも簡単にはできない。
「もちろん、こういった状況での時間稼ぎというのは、ものすごく価値があります。それに、決戦からの撤退に際しても、混乱を生じさせたことで追撃が緩やかなものになった、という見方もあります」
「物は言いようだな。事実かどうかも分からない話を、自分の手柄と言ってまわるのは、
なんというか気持ち悪い。
敵からしても、大要塞の攻城戦は一週間以上かかったわけで、大要塞に篭もるまでの追撃戦の間に多少の混乱が生じた、という見方はできるだろうが、物資の焼損は要塞を包囲している間の待ち時間で補填できているだろう。
全体として大混乱が起こったはずで、俺はその功績の立役者だ。などと声をあげるのは、なんだか小物になったようでいただけない。
「相手が押してきた場合の話です。恩を売りつけてくるようなら、支払いは済んでいる、と答えるための方便です。どんなにおかしな話でも、こちらが黙っていたら、向こうに理がある、ということになってしまいますから」
それは確かにそうだ。
要するに、押し問答になったとき圧されないよう、反論材料を用意してくれている、ということか。
「そうだな。参考にさせてもらう」
「はい。それでは、頑張ってください」
ミャロは、話は終わったとばかりに、さっと席を立った。
「もう行くのか」
急いでるな。
「はい。ボクは代表者として来たので、隊の皆はお二人が本当に戻ってきたのかと、知らせを首を長くして待っていますから」
「そうだったな……じゃあ、あちらのほうは、よろしく頼む」
「はい」
ミャロは頷いた。
「それでは、失礼します」
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