花言葉 アンスリウム

 花言葉を毎日調べ、その都度、幼かった頃の記憶を思い出します。

 私の実母は花が大好きな人なんですよ。生け花もやっていたので、実家にはたくさんの花瓶や皿、剣山もありました。飾られるのは、もっぱら手軽な花瓶でしたけどね。

 庭の花について話したり、出掛け先でも花の逸話や名前の由来を話したりが、よくある会話でした。


 母と私の価値観は、かなりズレていて(世代やら育った環境やらの違いですかね)、何かと衝突も激しいんです。旦那に言わせれば「よくグレずに育ったな」と言うような……今時の言葉で言えば、毒親ですかね。

 でも、花について語るときだけは、そんな価値観なんて関係なく、穏やかに話をしてお茶が飲めるんですよね。今も昔も。(なので、毒親とは言いきれない側面もあるんですよね)

 まぁ、もう5年くらい実家に帰っていないんですけどね。


 母のことが好きか嫌いかと聞かれたら『嫌いじゃない』になるのは、花を通じて、あの人から得たものもあるからなんだと思います。

 もしも、庭に花がない家で育ったら、ここまで花言葉に興味をもって、毎日エッセイを続けることもなかったかもしれませんね。


 そんなことを思い出させてくれたのは、8月25日の花『アンスリウム』です。

 この花、カラーや水芭蕉、里芋なんかの仲間なんですよ。それで、母が生け花をやっていたことや、カラーが好きだったことをふと思い出しました。


 つやつやの赤い花びらに見えるところは、カラーや水芭蕉と同じで、仏炎苞ぶつえんほうと呼ばれる葉が変形したものです。

 仏様の仏像の後ろにある飾りに似ていますよね。あの飾りは炎を象っているそうです。それに似ていることから、サトイモ科の植物の苞葉は仏炎苞と名がついたそうですよ。


 『アンスリウム』の赤い仏炎苞は、まるでハートのような形をしています。日本に入ってきた当時は、これが団扇に見えたことから、大紅団扇オオベニウチワと呼ばれたそうです。ラテンの風を送ってくれそうな団扇ですね。


 そんな情熱を感じそうな『アンスリウム』の花言葉は『恋にももだえる心』『煩悩ぼんのう』です。

 ハートの形につやつやとした赤。情熱的な一夏の恋を思わせる花は、恋い焦がれる胸の内を表しているのかもしれませんね。

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