空模様 曇天と雨上がりと

 ふと思い立ち、天気についてメモを取ろうかと思いました。気持ちを表すのに空や風の様子、私の感じたものを残すことで、執筆に活かせたらと思ったのです。


 今年の梅雨は、梅雨入りの宣言よりも先に訪れていたように感じます。


「今年は早く梅雨入りしそうね」

「まるで梅雨みたいな日が続くな」


 そんな言葉を、言ったり聞いたりしなかったかしら。そう思った頃には、もう感覚的には梅雨入りしていたのかもしれないですね。


 今日の空も、梅雨らしい曇天。

 朝起きればウッドデッキは雨に濡れているし、風はひんやり冷たい。なのに、締め切って寝ていた寝室はちょっと蒸し暑い。

 この外と中の気温差は、身体にずっしりと影響を与えるから、憂鬱そうな曇天と同じくらい苦手なんですよね。


 ところで、曇天を他の言葉で表現するとしたら、どんな言葉があるでしょうか?

 『鉛色』『灰色』『鈍色にびいろ』等の色で様子を伝えるものがあれば、『厚い雲に覆われた』『太陽のかくれた』『今にも雨が降降りそうな』と言った雲の様相を表す文言がありますね。


 今日の空を思い出して、空の移り変わりをちょっと書いておこうかしら。





 午前中は薄日がさし、短い間だが青空を見せる時間もあった。だけど、梅雨の中休みの訪れとはならず、昼過ぎには陽射しを覆って見渡す限りの薄灰色になっていった。


 あれほど蒸し暑かった午前中。

 送風機の風も生ぬるく感じていたのに、昼食を食べ終えた頃には、少しひやりとした風が窓から吹き込んできた。

 薄灰色だった空は見る間に鈍色となり、部屋が薄暗くなった。


 降るぞ──頭痛と共に、直感が働いた。


 急いで洗濯物を部屋にいれてから一時いっときもすれば、雨が窓を濡らし始めた。

 通り雨は、せっかく乾いていたウッドデッキを濡らし、蒸した空気を洗い流していく。

 それも長くは続かなかった。

 開け放った窓から吹き込む風は涼やかなものへと変わっていた。見上げた空は──


 やっぱり、曇天。


 梅雨時の雨上がりの後だ。そう簡単に青空は訪れない。だけど、薄灰色の空は、気持ちばかり白さが眩しく目に映った。

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