第227話 おおみそか
「あおい〜、そば、買ってきたよ〜‼︎」
二人分のそばを、そば屋で受け取ってきた俺は、リビングでくつろいでいるであろうあおいに向かってそう語りかける。
「おかえり~、ゆうくん。おそば買ってきてくれて、ありがとね。」
そう、笑顔で話すあおいさんのことを見ていたら、体全体が温まっていくような気がした。
「あおい、それじゃあ一緒に、おそば、食べよっか。」
俺がそう言うと、あおいは、俺に向かって手を差し出した。
俺はあおいが差し出した、柔らかく、温かい手を取るとリビングへと向かって言った。
「う~ん、このそば、すっごくおいしい。……で~も~、ゆうくんと食べさせあいっこしたら、も~っとおいしくなりそうだな~。」
あおいが上目遣いでそんなことを言ってきた。
……だからそれは反則だって。
上目遣いのあおいさんの頼みを、俺が断われるはずもなく……、
「あおい。……あ~ん。」
俺は、はしでそばを取ると、そう言って、あおいの口元へと、はしを運んだ。
「あ~ん」
はじめてやったときは、恥ずかしかったこの行為も、毎日のようにやっていれば、案外慣れてくるもので、今では恥ずかしさなんてものはどこかに消えてしまっていた。
「ゆうくん、あ~ん。」
二人で一緒に食べたそばは、とってもおいしかった。
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