第220話 葵と過ごすクリスマスイブ②

「ねえゆうくん。キスしない?」


突然、本当に突然、食器を洗っている時に突然、あおいがそんな事を言ってきた。……え?今なんて言った⁉︎いや、ね、流石に聞き間違えだと思うんだよ?だってさ、なんの前触れもなく、なんの脈絡もなく、『キスしよう』なんていう女子いないよね⁉︎いくら賢さを、神様から与えられなかったあおいでも、さすがにそんなぶっ飛んだことは言わないでしょ?

そう思って、こう、あおいに聞いてみる。


「ねえ、あおい。今、なんて言ったの?」


と。まさか、まさかここで、あおいが『キスしてって言ったんだよ‼︎』なんてことはいわないよね?言わないよね?いくらなんでも、いくらあおいでも、そんなことは言わないよね?というか、言わないでくれ‼︎

そんな俺の願いはどうやら届かなかったようで、


「ゆうくんに、キスしてって言ったんだよ?」


と、あおいは言ってきた。……なんで?いや、マジでなんで⁉︎本当におかしいでしょ⁉︎さすがにあおいでも、そんなこと言わないと思ってたよ⁉︎いきなりキスしようなんて……。いや、まあまだ家だからいいけどさ、こんなの外で急に言われたら困るからね⁉︎うん。

でもまあ、今日は色々あったし、その記念ってことならいっか。

なぜかこの時、俺はこんなことを思ってしまった。その結果、


「いいよ。」


と、そう言ってしまったのだ。

その結果、俺たちはキスをすることになってしまった。今度は、頬ではなく口に。

葵との、ファーストキスは、チョコレートのように、甘い味がした。

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