第209話 待ちに待った(?)文化祭②
「ひ、日鞠ちゃん……。」
これが、日鞠ちゃんの顔を見た瞬間、俺の口から出た言葉である。この言葉には、日鞠ちゃんが来たことへの驚きと、相手が日鞠ちゃんであったことへの安心、そして、日鞠ちゃんに、変な姿を見せてしまったという気持ちが重なり合って出た言葉である。(←誰もそんな説明を求めてないのに、詳しく説明するバカ。)……いや、別にこれ、俺悪くないからね。大輝が、大輝が決めたことなんだからね?(←自分のミスを、人に押し付けるクズ。)……あの、さっきからかっこの中の言葉が、辛辣すぎやしませんかね⁉いや、ていうか今までこんなの無かったじゃん。(←自分がやばい人間だということを認めたくなくて、何もかもを人のせいに知ろうとしている人間ではない何か。)
まあ、こんなの相手にしていても仕方がないし、今は置いておこう。
ともかく今は、きちんと接客をしなくては……。
そう思った俺は、日葵ちゃんを席に案内した。
「それじゃあ席に案内するね。」
と、雰囲気ぶち壊しの言葉を使って。
……うわ~、周りの男子からの目線が痛い痛い。えっと~、大輝はどこかな~?……あ、いたいた、あれが大輝だ。あいつ、あからさまに悔しそうな表情してるけど、まさか、これを狙っていたのか?俺が、日鞠ちゃんの接客をすることを。
まあでも、大輝の思惑通りにはいかないだろう。……というか行かせるつもりはみじんもないし。だから俺は、設定を忘れてしまった店員の振りをして、
「それじゃあ日鞠ちゃん。何にする?」
と言ってみた。周りからの視線が、痛いほど刺さってくるが、大輝の思い通りになるよりかはましだろう。
俺はそのまま、日鞠ちゃんに、普段のように接するのだった。
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