第193話 なんで『ゆうきお兄ちゃん』なんですか?
「……あの、渚ちゃん?なんで『ゆうきお兄ちゃん』なのかな?」
小学校低学年の子や、幼稚園に通うような小さい子に、『〇〇お兄ちゃん』とか呼ばれるのならまだわかるが、何で同学年の女子に、『お兄ちゃん』なんて呼ばれなきゃいけないんだろう?
葵もどうやら、俺と同じような疑問を抱いたようで、きょとんとした顔をしている。
……葵さん、今日も可愛いな。
そんな風に考えながら葵のことを見ていると、俺の質問に、渚ちゃんが答えてくれた。
「その、何でかっていうと……ゆうくんが、妹との恋愛とか年下との恋愛が好きなのかな?って思って。」
ん?それどこ情報⁉俺、一回と恋愛をしてみたいとか、言ったことがないんですけど⁉俺、リアルに妹居るし、リアルにも妹がいるから、渚ちゃんの今の発言が、家族に知れ渡ったら、いろいろとまずいことになるんですけど⁉……別に妹と恋愛したいとか思ったことはないのに。
「その、この前この家に、私の荷物を運んでいた時、押し入れに隠されていた、ゆうくんのラノベコレクションを見つけちゃってね。……そのヒロインが、妹とか、後輩とか、年下系が多かったから、年下系が好きなのかと思って。もちろん、幼馴染とか同級生がヒロインの作品もあったけど、でもそれは、葵に重ねて読んでいるんだろうなってえ思ったんだ。だから葵との相違点を出そうと思って『ゆうきお兄ちゃん』って呼ぼうと思ったんだけど、ダメだったかな?」
……そういう事だったのね。確かに、言われてみれば、俺の読んでるラノベって、ヒロインが年下系のものが多いかも。
いや、でもさすがに同級生がヒロインのものの方が多いでしょ⁉
そう思ったものの、しっかりと数えるのは怖かったのでやめておいた。
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