私たちは、服屋に着くとすぐさま、ゆうくんを試着室に放り込み、いろいろな服を着させて遊び始めた。

海賊のような服を着せたり、おまわりさんのような服を着せたり、ロックミュージシャンのような服を着せたり、人気アニメのキャラクターのような服を着せたりして。

……普通なら、普通の人なら、

『なんで人のこと、着せ替え人形みたいにして遊んでんだよ‼』

とか、

『服を選ぶっていうなら、ちゃんと選んでくれないかな？』

とかなんとかいうと思うのだが、服のことを何にも知らない……というか服に興味のないゆうくんは、

「え⁉何この服、すっごくかっこいい‼それにこの服、すっごく動きやすそうだし……。この服なら、買ってもいいかも‼」

などと、意味の分からないことを言っている。

ちなみにこの感想は、海賊のような服を着せた時の反応である。……ゆうくん。そんな服を着て外を歩く人なんて、きっと世界中を探しても、一人もいないと思うよ⁉

……さすがに冗談だよね？いくら服装に関心のないゆうくんでも、本気でこんな服を着て歩こうとか考えてないよね⁉

「葵。それに優香さん、今日は服を得選んでくれてありがとう。……それじゃあこの服勝ってくるからちょっと待ってて。」

そんなことを考えていると、ゆうくんは突然そう言って、レジの方に向かって行った。

「……あの、この服ください。」

試着した服を着たまま、店員さんにそう話しかけた。

……ゆうくん、それはダメでしょ。

ちなみに、この後二人でもう一度、真剣に服を選びなおした結果、ゆうくんに似合った服を、高校生が着るような服を選ぶことができました。

……優香と対決、したかったな～。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい