第178話 ゆうくん、今日はありがとう。

先程の、『愛しとーと』を含め、

『かっこいいゆうくんのこと、愛してるっちゃ。』

と、宮城県で使われている(ネット情報)と噂の言葉を使ってみたり、

『ゆうくんのこと、愛しとぉで。』

と、言ってみたりと。たくさんの方言を使って、愛を伝えてくれる葵さん。まじで可愛すぎる。控えめに言って最高。

方言 is 最高‼日本に生まれてよかった‼……いや、まあ方言は、日本以外にもあるだろうけど。

……ともかく、葵さんがあまりにも可愛すぎたせいで、本来の目的を忘れ、葵さんの『愛してる』を、普通に楽しんでしまっていた俺だが、葵さんが、


「ねえゆうくん。いったん休憩しない?」


といったあたりで、本来の目的を思い出した。

……ちなみに俺は、まだ一回も、葵さんの『愛してる』に、耐えられたことがありません。はい。

葵、勉強はできないのに、何でこういう時は、俺の弱点を的確についてくるんだろう。

……もしかして、葵さんって勉強ができないだけで実は天才だったとか⁉有名な化学者とかでも、小学校通ってなかったって人がいたような気もするし……。


「あの~、そろそろ葵さん、僕にも『愛してる』って、言わせてもらえませんかね?……今のところ、全く勝負になっていないですし。」


……せっかく優香さんに相談して、いい案を考えてもらったのに、ここでチャンスを逃すわけにはいかない。ここで頑張って、きちんと葵さんの不安を、取り除いてあげなきゃ‼

そう思った俺は葵さんにそう言った。


「ゆうくん。今日はありがとね。」


突然、葵に『ありがとう』と言われ、困惑する俺。そんな俺に向かって、葵さんは続けてこう言う。


「ゆうくん。今日、このゲームやろうって言ったのって、わたしを元気づけるためでしょ?私の不安を、取り除くために、このゲームをやろうって言ってくれたんでしょ?……だから、それに対してのありがとう。……ゆうくん、今日は本当に、ありがとね。」


そう言って葵さんが見せた笑顔は、とってもかわいくて……その葵さんの笑顔を見た俺の顔は今日一番、赤くなっていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る