第96話 またまた女子と、一緒にお風呂。 (日鞠編)PART2

「ゆうき先輩って、あの二人のどっちかと、付き合っているんですか?」


ゆっくり、二人でお風呂につかっていると、突然、日鞠ちゃんが、そんな質問をぶつけてきた。


「いや、どっちとも付き合ってはないよ。二人とも、今は友達。」


うん、これは完璧な答えじゃない⁉これだったら、俺が葵のことを好きだってバレ

ないでしょ⁉

そう思ったのだが……。


「へ~、『今は』ってことは、いつかどっちかが、彼女になる可能性があるってことなんですね~。……先輩、ぶっちゃけ先輩って、どっちのことが好きなんですか?」


……人間、隠し通すのって難しいんだね。絶対どこかで、ぼろが出るし。


「いや、さすがにそれは……。」


うん。これはいくら日鞠ちゃんでも、言えないかな。

……可愛い後輩に、好きな人を知られるのは、恥ずかしいし。


「ど~せ、葵先輩なんじゃないんですか?……先輩の態度、幼なじみに対する態度とは、なんか違うような気がするし……。」


鋭い。砥石で研いだばかりの包丁くらい鋭い。


「い、いやいや、さすがに違うよ。葵は、ただの幼馴染だし、優香さんもただの友達、どっちも、恋人になることはないよ‼」


ひとつ前に言うべきだったことをここで言っている俺。


「わかりました。そこまで先輩が言うなら、そういうことにしておきます。私、出来る後輩なので。」


そんな俺の言うことを聞いて、それ以上、深掘りしないでくれる日鞠ちゃん。

……後輩に、気を使われるなんて、情けないな。好きな人くらい、ビシっと言えたらいいのに。

そう思う、俺であった。

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