(四)(了)
結局『ポトフ&テリーヌ』でも予約が入っていなかった。
合コンの話はどこへ行ってしまったのか。すうと電話で約束をしたのに、あれは私が夢を見ていたのか。何か間違えてしまったのか。それとも記憶違い? それとも妄想?
そうしてとぼとぼと関内駅に戻り、柱に寄りかかりながら何度も何度もすうに電話した。三〇分後、十八回目でようやく電話がつながった。
すうは、残業でまだ会社を出ていないと言った。
「あんなに今日の合コンを楽しみにしていたのに?」
私はそう言った。
するとすうが返事をした。
「何言ってるの、合コンは明日でしょう?」
「えっ?」
私はそれしか言えなかった。
「今日は木曜日で、合コンは明日の金曜日よ。あんたは一体、合コンの前夜に何をやっているのよ」
スマートフォンが手から落ちて床に転がった。
「もしもし?
水滴が髪から伝い下りて、駅の床にすうの声を聞かせているスマートフォンの上に落ちた。
(了)
完璧な準備とまさかの電話 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます