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ベッドから少し離れて、ベッドに背中を向けてたけど。
見てって言われたそれを見て。
近づいた。
すごいどきどきしてる。
今脈測ったらどんだけいくんだろうってぐらいすごい。
ゆず先生は上半身何も着てない状態で、自分の左ひじあたりを、右手で抱いてた。
その、明らかに歪な、引きつったみたいな肌を、慈しむみたいに見ながら。
「どうしたの。それ」
どきどきがまじでハンパなかった。
ゆず先生が熱っていうのでかろうじて抑えられてる。何がって。………俺、が。
早く身体拭いて着替えて寝ないと。寝かさないと。
朝までに少しは下げないと。仕事だぜ?しかも運動会。
真夏ではないにしても、まだ暑いし体力使って、しかもゆず先生にとっては初めての運動会だ。きっと気力もすげぇ使う。だから。
思うのに。思ってるのに。そう。
でも。思うのは。思ってるのは、同時に。
………触りたい。
コノヒトを直で触って、肌を重ねて、もっと。
もっと、何だって言うんだよ。だから相手は熱出してんだよ。熱。
必死に何度も、言い聞かせる。
「小さい頃にさ、木登りして」
「………え?」
「落ちた。落ちたときにどうなったのか分かんないんだけどね、枝が」
枝が。
もしかして。
「ケガしたのはここだけだし、骨も神経も無事だったから良かったんだかけど」
「………うん」
「あのいかがわしい場所でガウンを脱ぐとね、これを見て、本当に極端な反応が返ってきてた」
「極端?」
ゆず先生はてのひらで傷跡を包んで、そして俺を見上げた。
「結構大きいでしょ?結構目立つっていうか、普通の縫った跡とは違うから。だから気持ち悪い。萎えたって言って、違う人の方に行っちゃうか、こっちがびっくりするぐらい心配してくれるか」
そして、なっちゃんはこれ、平気?って。
ちょっと、試す、みたいな。
………平気?って、そんな。
「………なっ」
ぴぴぴぴぴっ………て、MAXまでの俺ん中の何かが、ぴぴぴぴぴっ………てランプがついた感じ。
ほら、テレビでやる仮装大賞のさ、点数計みたいなやつ。
白から赤に変わっててっぺんいってってやつ。あれが。俺の中のそれが。
てっぺんこえて、振り切った。
で、振り切ったと同時に俺は。
ゆず先生を思いっきり抱き締めて、ベッドに。
ベッドに………押し倒した。
なっちゃん⁉︎ってびっくりしてるゆず先生の声が聞こえた。
けど。
俺は。
俺、は。
相手は、熱って。
素肌を抱き締めたら、かろうじて残ってたそれも、見事にぶっ飛んで。
俺は。
………俺は。
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