第3話肩トレwith学園のアイドル

学園のアイドルである桜井さんの宣言を聞いたあと俺たちは一緒に下校していた。


「じゃあ佐々木君は毎日学校帰りにジムに行かれてるんですね」

「まぁ何かしら特別な事情がない限りそうだな」

「じゃあこの後もジムに行く感じですか?」

「そうだな。だからもうすぐお別れだ」


そう言うと桜井さんは黙り込み何か考え始める。そもそも学園のアイドルの相手は俺には重い。帰り道も色んなやつにジロジロ見られたし。


「あの、迷惑なのは分かってるんですけどジムに付いていってもいいですか?」

「はい?」

「えっと、私が筋肉フェチって話はしたじゃないですか。それで私自身もジムとか行ってみたいなと思ってたんですけど中々勇気が出なくて…」

「あーなるほど。そういうことか」


危ない危ない。てっきり彼女が俺ともっと一緒に居たいからとかそんな恥ずかしい勘違いをするとこだった。それはそれとして、正直筋トレの邪魔にはなるかもしれないが新たなトレーニーの誕生は筋トレをしている者としては歓迎すべきだ。断る理由はない。


「別に問題ないぞ。多少効率は落ちるかもしれないけどまぁどっちにしろ図書委員で遅れてるし変わらん」

「本当ですか!?ありがとうございます!」


そう言って満面の笑みを見せてくれる桜井さん。男とは単純な生き物でそれだけでやる気が出るのだ。




学校から歩いて10分ほど。いつものジムに到着した。俺はいつも学校に持っていっているウェアに着替える。桜井さんは持っていなかったため体操服だ。今日は体育があったのでたまたま持っていたのだ。しかも雨だったので使っていない。まさにこの時のためにあったかのような偶然だ。


「じゃあ今日は肩トレだけどどうする?」

「えっと、どうするっていうのは?」

「一緒にやるのか、桜井さんは自分のやりたいことをやるのかってこと」

「えっとジムに来たの初めてなので器具の使い方とか全然分からないので教えてもらえると助かります!」

「分かった。じゃあまずは肩トレがどこを鍛えるものかの解説から始めようか」

「あ、それは分かります!肩って言っても肩こりが起こる肩じゃなくて三角筋のことですよね!」

「そうそう。筋トレで言う肩は三角筋、要は上腕の筋肉だ。じゃあこの三角筋が何個に分かれてるかも知ってる?」

「もちろん知ってます。3個ですよね。前部、中部、後部!この3個がバランス良くないとやっぱボディビルのステージでも見栄えが悪いですよね!」

「そ、そうだね。詳しいね。じゃあ筋肉とかの部分は問題ないから種目の動作を教えてくね」

「はい!」


正直、桜井さんのことを侮っていた。思ったよりこの子はガチだ。

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