第137話 中央都市 死神の列③
「つーか、姉さんは何であんなヤツと一緒に居ようと思ったんすか?控えめに言って人間のクズでしょう?変態だし。きっかけとか馴れ初めとか全然想像つかないんだけど」
「オイ、ミルフ。お前、殺されてーのか?後、お前に変態とか言われたくねぇよ」
「お、お前達が、何者だか知らんが、い命だけは助けてくれ!」
「初めて出会ったのは、コイツがギルドでその場にいた冒険者全員に喧嘩を売っていた時だな」
「あれは俺が売ったんじゃなくて売られたんだ」
「頼む!金ならいくらでもやる!」
「コイツが盗賊のねぐらに一人で乗り込んだ事があってな。それを知って助けに行ったんだが……私達が着いた時には盗賊は皆殺しになってたな。思い返すと、あの事件がきっかけと言えばきっかけだろうか」
「イヤイヤ皆殺しにはしてないだろ。ちゃんと頭目は生捕りにしただろ」
「き、聞いてるのか?誰にたのまれた?お、おお前達を雇った奴の二倍、イヤ三倍だす!」
「つーか、今のその物騒な話しで、どうやったら色恋の話しになるんだよ!」
「アイリーンが俺の為に追いかけてきてくれた所とか愛が溢れてるだろ?ちゃんと話し聞いとけよ」
「わ、私には幼い子供がいるんだ!お前達にも家族が、家族がいるだろ!」
「さっきから、ウルセーんだよカス」
私兵をほぼ片付けた俺達が、標的の一人であるタカ派の評議員の男を屋敷の外に引きずり出して来た所である。
命乞いにイラついたので、男の鳩尾を蹴り上げて黙らせる。
「オゲェエッ」と、胃の内容物を撒き散らしながらのたうつ。
恋バナで盛り上がってる所にしょうもない事言いやがって。
「他人の生活を壊しておいて、自分は家族を持ち出して命乞いか?見下げた奴だな」
ブリスク辺境領はコイツらのせいで大打撃を受けた。
その報いは受けてもらうが
口をパクパクさせる男を他所に、恋バナに花を咲かせようとした時だ。
「あっ、信号弾……つーか、あの色……何だったっけ?」
他の連中に持たせていた連絡用の信号弾が上がった。
「色は黄色か」負傷者発生か……
正直ハイランダー達が手こずるとは思ってなかったが、モーリッツとラッドの二人が少しだけ心配だ。
「俺を置いて先に行け」
「……つーか、それ、今言うセリフじゃなくね?」
「一度は言ってみたいだろ!察しろよ」
「オイ、ミルフ。負傷者が出たみたいだ。ここはコイツに任せて他と合流するぞ」
赤色なら『危機的状況・問題発生』
黄色なら『負傷者発生・治癒魔法求む』
緑色なら『ノルマ達成』
青色で『了解の反応』
白色で『集合』
紫色なら『撤退』だ。
距離・方角をMAPさんで確認するに、やはりモーリッツのいる班からの信号弾だ。
「ミルフ、ディアミドの班だ。場所は確認できるな?」
「つーか、ブラ珍のMAP優秀過ぎない?」
ミルフに細かい場所を指示して向かわせる。
使い込み方の差か慣れの問題か愛故か、はたまた『
さすがはオレのMAPさん
「さて、お前らゴミの処理が俺の仕事なんだが、ただ殺すなんて事はしない。二度と馬鹿な真似をする奴が出ないように、見せしめにしてやる」
「こ、この国が許すはずが、、ない。お前達は、し死ぬまで追われるぞ!」
「ハハハ、許すも許さないも、名目上俺達はこの国の治安部隊って事になってるぜ?売られたんだよ、お前らタカ派は。この国に」
「そ、そんな筈あるか!たかだか辺境領相手に……「異世界人を巻き込んだのが不味かったな」は?」
「確かにこの国は辺境領くらいの相手じゃここまではしなかったかもしれんが、お前らのせいで被害を受けた人間の中に異世界人がいたんだ。まぁ、俺もその内の一人だが」
「そんな……」
「同胞団はこの国に対し、遺憾の意を表明した。異世界人との関係を悪化させたくないと思ったこの国は、お前らを切り捨てた。まぁ、そんなとこだ」
作戦指示書には"逮捕・拘束を旨とし、抵抗があった場合のみ殺害を許可する"とあったが、逮捕などさらさらする気はない。
それに実際、私兵の抵抗はあった訳だし?その雇い主の抵抗の意志ともとれる。
問題なしだ。
「あの世で仲間が来るのをまってろ」
そう言って虚な目になった男の首を刎ねた。
屋敷の鉄柵の門扉にワイヤーで死体を縛り、腹を割いて腑を出すと、そこに生首を無理矢理埋め込んでやった。
「我ながらこれは酷い」
通り面した屋敷の門には屋敷の主の惨殺死体。
明らかに治安部隊のやる事じゃない。
後片付けをさせられる奴には同情するが
「さっさと次に行こう」
夜の帳を死神がスキップで駆け抜けた。
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星が3000を越えました!
皆様の応援のおかげで、目標を達成できました。
本当にありがとうございます!
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