第104話 収束
「化け物め……」
脚の怪我のせいか息が荒いにもかかわらず、酷く冷静に俺を罵る敵の傭兵隊長。
「こりゃまた、随分なご挨拶だな。こんな少数相手に下手打ったからって、人を化け物扱いするのは良くないぜ?隊長さん」
相当痛いのだろう、脂汗を垂らしながら撃ち抜かれた脚を押さえているが、それでも目だけはコチラを射抜くように睨んでいた。
「隊長さんには恨みはない。情報を吐いてくれたらこのまま解放してやってもいい。例えばそうだなぁ、ガゥネッド商会を動かしてる奴は誰か。支店長や商会の人間を誰かが裏で操ってるのは間違いないんだが、アンタ知ってるか?」
狐に聞く前に裏を取っておきたいし、知らない可能性もある。
支店長の駒なら多少は知ってると踏んでる。
「アンタ何者なんだ?腰抜け魔法使いの冒険者を一人だけ雇ったとしか聞いてなかったが」
「おっと、自己紹介が遅れちゃったかな。腰抜け魔法使いの冒険者だ。転移者で使徒でもある。俺の情報は秘密にしといてくれな、せっかく助けてやったヤツを殺しに行くのは面倒だから」
「転移者か……こりゃまた面倒なヤツに手を出してしまったようだ。……まぁ、ここまでしといて忠告もクソもないだろうが、協商ブリスク領事に気をつけろ。本国の強硬派の手先だ。ガゥネッド商会はただの駒に過ぎん」
でしょうね。
やっぱりかぁ〜、何となくそうなんじゃないかなぁとは思っていたけど、ブリスク辺境伯には一応話しといてやるか。魔石のお礼に。
新しい仕事を依頼してもらえるかもしれんし。
協商連合国の強硬派がどれだけの勢力かは知らんが、自分達が誰に手を出したかを分からせしてやろうじゃないか。
ついでに魔石や現金や報酬諸々いただいてしまおうじゃないか。
「旦那、メチャクチャ悪い顔してますよ」
つい顔に出てたようで、ディアミドから注意が入った。
呆れた顔の隊長さんにちょっと高級なポーションと生き残っていた馬をわたす。ついでに紹介状も。
「困った事があればミッドガルドの俺の同郷人の所に行け。職には困らないしそこまで行けば安全だろ?」
協商連合には未練もなく、他国に逃亡すると言うので働き口を紹介してあげた。
部隊指揮官としては中々有能そうだったのでスカウトする事にしたのだ。
「本当に助けてくれるとはな。秘密は守るし、借りは返す」
「借りは返さなくてもいいが秘密は守ってくれ。殺すのは勿体ないから。アンタを狙いそうなヤツは処分しておくから気兼ねなく行ってくれ」
逃亡がバレてまずいのは支店長と領事くらいだと言うから、どうせ処分するし問題ない。
狐を叩き起こし、村人を雇って生き残った馬や死人の武器・装備を根こそぎ回収し、馬肉を振る舞い地竜と引いていた車はアイテムボックスに収納した。
埋葬と今回のリザルトはまた明日という事にして、まずは肉と酒で宴会である。
村娘のケツを肴に束の間の休息を楽しんだ。
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中々忙しく投稿安定しませんが、ぼちぼち頑張ります。
よろちくび。
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