バグで最弱魔物になった 〜けど魔王になる〜
@lemon-lemon
第1話 チュートリアル713回目
「何かが落ちてくるぞ!」
「危ない!」
グシャッ!!
わぁ……
何も痛みを感じない……
それと……何も見えない……
『 今日は春一番が観測されるかもしれません。 』
テレビでそんなこと言ってたな……
2月16日 7時19分
一人の男が橋から転落しこの世を去った――。
……この世を去った。
……この世を去った?
去るってことは……
何処かに行くってこと?
ピンポーン!その通りである!
では行こう!
新たな世界へ!
出発〜進行!!
「ポッポー!!」
「何言ってるんですか?」
「あっ、聞いてたんだ。」
真っ暗な暗闇に2人の男の声が響き渡る。
「もしかしてあれ全部独り言ですか?」
「ぴゅ〜〜〜ヒュ〜…ピ〜〜〜…♪」
「ごまかすの下手くそすぎだろ!」
「まぁ……あなたが死んだことは本当だけどね……」
そう、俺は死んだ。
2月16日 7時19分ではなく。
6月12日 9時17分に。
プールの講習中に溺れて死んだ。
「いやぁ〜……ドンマイ……」
「それだけで片付けていい問題かよ!?」
「ええぇ〜俺関係ないし〜」
「てかなんであんた俺が死んだって知ってんだよ!?」
「神様だから」
「……」
「あれ?反応薄いね」
「えええええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!?????」
「わあ、すごい時間差」
「誠に申し訳ございませんでした……。今回のことは……どうか……どうか……地獄だけは……地獄だけは……」
体があったら土下座してただろうな。
「ぷっぷぷ……」
笑っている?
許してくれたのかな?
「俺神様じゃないよ?」
「は?」
は?
俺って騙されたのか?
「じゃあ、あんた誰?」
「俺もあんたと同じ死んだ人」
「は?」
「トラックに引かれて死んだの」
「え〜……じゃあ、何で俺が死んだって知ってんですか?」
「う〜ん……感?」
「すごい感だなおい。」
「あの……年齢の方は?」
「17歳」
「年下じゃねぇか!」
「へ〜。じゃああんた何歳なの?」
「46歳」
「うわぁ〜…………無職だったんですか?」
「何で無職だと思うんだよ。普通に働いとったわ」
パーン!パパパーン!パパパーン!ジャジャジャジャーン!
急に競馬のファンファーレのような音楽が流れ始めた。
「ようこそ!我が国へ!!」
景色は真っ暗なままだ。
「あの〜……景色が変わってないんですけど?」
17歳くんが質問した。
「え?見えない?当たり前じゃないか、なんたってここは――
死の国なんだから。」
ワオ。
「これから君たちにはこの死の世界で――殺し合いをしてもらう。拒否権はもちろんないよ?」
「「はぁ!?」」
*
画面が明るくなった。
『 操作の確認を行います 』
さっきの46歳と17歳の会話は、年齢設定を46歳に設定した時のチュートリアル前の会話だ。
(ふぅ……)
……さて……今日もやっていきますか……
バグ探しを!
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