第31話 真面目に聞いてあげないの?
「まずはこの場の全員に謝らなければならない」
ベガートはそう言って立ち上がると、
「すまなかった」
彼は
自ら作った石の
――ドサッ!
石で出来た
私は最初、
フランも同様で、口元を両手で
キューイも――キュイッ――と短く鳴いて、尻尾の毛を逆立てた。
しかし、冷静に見れば、
兄が魔術で
ベガートの
(当事者がこれじゃあ、私達が
ちょっと面白かったので、私はクスクスと笑ってしまった。一方、兄は――お前の行動などお見通しだ――と言わんばかりにベガートを見下す。
身長はベガートの方が高い。そのため、実際には見上げる形になってしまう。
「優秀な弟は、これだから困る」
ベガートは
「お前の行動が分かりやすいだけだ」
兄は溜息を
「一番行動を
そう言って、兄は私の頭を
(わふん? もしかして、私の事かしら?)
確かに――とアーリが
その様子に対し、
「お前にも、分からない事があるとはな……」
そう言って、ベガートは口元を
(男性だけで
――少し面白くない!
しかし、兄はいつまで私の頭を
(一向に構わないけどね……)
「で、十四年前――いったい
兄は真剣な口調でベガートに問う。
無意識なのだろうけど、兄のその手は、完全に私の耳で遊んでいた。
(
――少し
フランが
二人して、私の耳で遊ぶのが、そんなに楽しいのだろうか?
「原因はワタシの心の弱さだ」
ベガートが語り始める。
(いや、その前にお兄ちゃんを注意しなくていいのかな?)
――大切な話じゃないの?
彼の話によると、ベガート自身、血筋だけなら、この国の王族だったらしい。
祖父の時代に王位争いに敗れ、祖父と父親は国を出たそうだ。
「まさか、それも教会
と兄。ベガートは静かに
「恐らくはそうだろう……自分達に都合のいい国王を
と教えてくれた。
その口調から、詳しく調べた訳ではないようだが、私は
(そんな昔から教会は動いていたのね……)
――改めて、この国に巣食う教会の厄介さに怖くなる。
ベガートの祖父は死ぬ間際まで、王位
「ワタシがもう少し、祖父の言う事を真剣に聞き、気に
と
「仕方ないさ……」
兄は声を掛ける。
(やっぱり、この二人……似てるよね?)
そう思って、フランに
一方、ベガートはお構いなしに話を続ける。
(
ベガートの父は、祖父が亡くなった事を喜んでいたようだった。
父親にとっては王位継承権など、どうでも良かったのだろう。
それまで片手間でやっていた冒険者家業に本腰を入れたらしい。
だが、それが
教会の話を聞いていたため――魔物に殺されたと
ベガートの母親は、それが原因で体調を
「勘違いしないで欲しい……」
とベガート。彼は――同情して
そんな事よりも、私としてはお兄ちゃんとフランだ。
(真面目に聞いてあげないの?)
ベガートは更に話を続ける。
(
彼は母を
彼の育った街は裕福ではない
そして、子供達を
すべてはいい方向に向かい始めた――そう思った矢先の出来事だ。
街で
国が動いたため、ベガートも
仲間共々、生きたまま、焼き殺されるところだったらしい。
だが、旅の魔術師により、間一髪のところを助けられる。
その魔術師こそが、師匠であるロフタルであった。
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