第二章 旅立ちと再会
第15話 そういうの、要らないから……
妹のフランと話すべき事も話したい事も、まだまだ沢山あった。
しかし、彼女は本物のお姫様だ。
私は――そんな妹との別れ
「お兄ちゃん、私をあの山に連れて行って!」
と『竜が
「分かった……」
とだけ
「いいの?」
言っておいて
「俺一人では、取れる手段は限られているからな……」
少しだけ、
不確定要素が多いため、
だが、私の容姿からして――この国と魔術的な
恐らく、私が【
この世界では、【
そうであるのなら、少しでも――この国の王都にある【
私としては――ただじっと、その日が来るまで待っている――という選択は
すべてをお兄ちゃんに任せるのは――
だから、山へと向かう事にしたのだ。
「もし、竜が居るのなら、話をしないとね!」
――
――どうして、街を焼き払ったのか?
――師匠さんはどうなったのか?
(全部、聞き出してやる!)
意気込む私に――やれやれ――とお兄ちゃん。
無言で私の頭を優しく
私は孤児院へと帰ると、
(それだけは、絶対にダメだ!)
――
目指すは『竜の
† † †
「クー姉、気を付けてね」
早朝――といっても、まだ日も
それなのに
血は
私は彼女を抱き締めたい気持ちを――グッ――と
(また、泣き出しちゃうと困るもんね……)
「うん、行って来るね!」
本当は、もう二度と会う事はないのかも知れない。
――だけど、これ以上、彼女を心配させたくはない!
なので、私はいつも通りに振る舞うのだ。
そんな私の様子が気に入らないのか、
「フンッ、大丈夫かよ……」
とはイストルだ。こっちは素直じゃない。
「大丈夫だよ! お兄ちゃんも居るしね!」
私は笑顔でサムズアップする。
イストルは一瞬、面食らうも、
「そうだったな……」
といつも通りの表情に戻ると、
「リオル兄、大変だろうけど頑張ってくれよな!」
兄に対し、同情するような視線を向ける。
「そうだね――リオル兄、お姉ちゃんをよろしくね!」
とはディオネ。
「リオル様、どうかエレノア様……いえ、クタルの事をお願いします」
――ナタリヤ院長まで!
(うーん……私って、そんなに信用ないのか?)
「分かった――クタルの事は任せてくれ」
とお兄ちゃん。
(あらやだカッコイイ!)
――いや、違った。
「ムーッ! だから、大丈夫だよ!」
私はそう言って、頬を
(確かに、お兄ちゃんは信用出来るけど……)
――その反応は納得いかないよ!
「そうだな……ちゃんとリオル兄の言う事聞けよ」
「クー姉はやれば出来る子だよ……だからリオル兄の言う事、ちゃんと聞くんだよ」
イストルとディオネが、二人
――クッ……これが信頼の差というモノか!
(出発前だというのに、早々に
「わふんっ……」
意気
子供達も起きてしまうだろう。
それでは早く出る意味がない。
空も明るくなった。どうやら、日が山から顔を出し始めたようだ。
「じゃあ、行って来る」
と兄は背を向ける。私は、
「そうだ! お
と聞く。
「そういうの、
とイストル。
「そうだよ……無事に帰って来てくれるだけでいいから!」
とはディオネ。ナタリヤ院長は、そんな二人の様子に微笑む。
(二人共、良く出来た子達だよ……)
「分かったよ……じゃ、行って来るね!」
私とお兄ちゃんは手を振り、孤児院を後にするのだった。
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