Episode Ⅵ (1-6)
クラスメイトは仲間同士で束の間の談笑をする。
ゆっくりと流れる景色を目にアテナは机を枕にしていた。
「は~。部員集めどうしようかな~」
部活の創部を目標に活動を始める。
入学早々自発的な行動に悩みを抱えている。
休み明けの彼女を心配して後ろから近づく。
「どうしたの、アテナ。そんな浮かない顔をして」
ミツキは頭を抱える彼女に声をかけた。
「ミツキちゃん」
心配して来てくれた彼女に思う事を話す。
「部活を作りたいけど、グイグイと話しかけるタイプじゃないから。人集めってそう簡単にはいかないなと自分の
自分の弱点を離してまで、何かこの場所で起こしたいものがある。
胸の内を明かしたアテナにミツキは言う。
「勧誘って難しいよね。とりあえず、募集の広告とかを作るのはどう?」
ミツキは自分なりのアドバイスをした。
「そう……だよね」
自分の不安を口にするだけで、頭がスッキリした。
アテナはアドバイスを取り入れ、自分のできる事をまずしようと考える。
生徒達が学校中に散らばった放課後。
部活が休みのミツキと創部を目指すアテナは勧誘作戦を練る。
一年い組の教室で、二人は机同士をくっつける。
ルーズリーフを一枚真ん中に置く。
部活の目的、活動内容などを書き出していた。
「まず、アテナが作る部活は何をするのかだね」
「そうだね〜。私、ただ漠然とクリエイティブな事をしたいと思っていて」
頭にアイディアを浮かばせようと顔を手で支え考える。
想像的な活動と言っても、中学には多くの文化系部活がある。
吹奏楽部、声楽部、放送部、文芸部、芸術部、マンガ部、アニメ部。
さらに、学校公認の同好会も存在する。
アテナの考える事を理解しようと質問を続ける。
「例えば?」
「例えば……」
アテナはモジモジとする。
そして、はにかんだ。
「な、なんか……ね」
「うん」
急かさせず、彼女の言葉を待つ。
アテナは人差し指同士をツンツンと突く。
「私の持つ独創的な世界観をいろんな方法で表現したい……み、たいな?」
「アテナの世界ってどんなの?」
創部へのヒントになるかもしれない。
ミツキは続けて聞く。
「うーんそうだな〜」
人の興味を焦らすように言う。
ミツキは彼女に目を逸らすまいと真剣に見つめる。
アテナの世界。
例えば教室にいる彼女が
つまり、
夢やゲームで見る世界の彼女を
つまり
アテナはいつか
それがアテナの考え方であり、世界観。
それらを
「どう、かな?」
「うーん」
アテナの長々とした説明にどう話そうかとか戸惑う。
一分経過しても分からないまま、一言。
「アテナは
「超人ではなく。二つの世界を行き来してもいいのではという個人的な提案?」
思っていた通りの反応に勇気を持った気持ちは不安へと変わっていく。
自信の無い両手を前に出しつつ話を続ける。
「私はその世界観を表現するために、音、絵、映像などで表現してみたい」
一度、説明されただけで彼女の考えには共感しかねるところがあった。
しかし、噛み砕いて内容を質問し説明を続けた。
そして、ミツキの中で結論に近いものが出ようとしていた。
「アテナの考えている事は当たっている事かもしれないし、外れてるかもしれない」
客観的に思った意見を言った。
「私はアテナの作る世界を一緒に見てみたい。だから、できる範囲で協力するよ」
ソフトボール競技とは違う新世界に興味を持った入部理由だった。
「あっ、あ……」
「ぅん!? どうした、アテナ‼」
アテナは飛びつき泣き始めた。
初めて誰かに理解された感覚。
それは他人に作らされていたと思っていた自己防衛の檻。
そこから抜け出せた開放的な気分だった。
「ありがとう……、私ミツキちゃんと出会えて嬉しいよ〜」
「急にどうしたんだよ?まだこれからでしょ」
感動の涙を流し続けるアテナにミツキは介抱する。
興奮が落ち着き、今日中に決めるべき記載事項を検討決定した。
現在部員数・二人。
明日から二人の創部活動が本格始動する。
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