第23話 片足

「キャー 看護師さん早く来てー。」

新造さんの奥さんの叫び声に、走って部屋へ向かう


新造さんの呼吸は少しずつ穏やかになっていた


1年以上前から、がんで余命宣告を受けられていた

あと数ヶ月と言われて、1年以上奥様がずっとそばで見守られている

新造さんも奥さんも、お互いを支えに生きてこられているすてきなご夫婦


新造さんは、片足を数年前の病気で切断していた

足の傷の痛みが時々ある様子で、奥さんがそっと手を当ててなでている

すぐに痛みが和らぐ様子が見て取れる

「足が元に戻るといいのにね。」よく奥さんが話されていた


何度も急変しても、奥さんの声かけに意識が戻る

奥さんが一番のお医者さん


奥さんの叫び声が急変コール

奥さんに手を取られ、この日、奥さんの声を聞きながら旅立たれた


奥さんから数日後、電話があった

「足がちゃんと戻りました。亡くなったと病院へ連絡したら

切断した足を戻してくれたんです。ちゃんと足をつけて天国に行きました。」


願いは叶うと心からそう思った











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