第82話 恋人の母の実家で料理を食べるのも良いよね?



源「アッハッハッハ!! まさか如月さんとこの娘さんが、和樹のコレじゃったとわな!」


 と言いながら小指を立たせる


 、、、その仕草にとてもイラッとした


 っていうかその話何回目だよ


 粛清!


和「ねぇ婆ちゃん、爺ちゃんちょっと飲み過ぎじゃない?」


智「そうね。 源蔵さん、今日はここまでよ。」


源「あぁぁ! 儂の楽しみを取り上げないでくれぇ!」



澪「アハハ、、、その、面白い御夫婦ですね。」


和「仲が良いのは認めるけど、もう少し落ち着いたら良いと思うんだよなぁ、、、というか秀和さんたちもこんな感じじゃない?」


秀「呼んだかい?」


澪「呼んでません。 お父さんはお母さんと七海さんと飲んでれば良いんです。」


 相変わらずキッツ、、、


楓「そうよ、せっかくの実家なんだから、たくさん飲まなきゃ!」


秀「実家なのは君だろう? 、、、しょうがない、付き合うよ。」


楓「今日は私が寝かさないわ♡」


澪「お二人はもっとあっちに行っててください。 美味しいご飯が美味しくなくなります。 あ、七海さんは是非楽しんでくださいね。」


和「いや、その、そこまで気にしなくても、、、」


澪「和樹くんは静かにしていてください。」


和「、、、はい。」


 ダメだコレ、、、俺も爺ちゃんや秀和さんみたいになる未来しか見えない




 なんでこんな事になってるのかというと、話は神社の話まで遡る


 これはその時の会話だ


和「楓さんの実家ってこの辺りなの!?」


澪「は、はい。 ここから五分ほど歩いた場所に。」


和「はい、爺ちゃんのお隣さん確定ですね。」


澪「はい!? な、なんとおっしゃいました!?」


和「うん、俺の母さんの実家と楓さんの実家って多分隣だよ。」


澪「なんですかその偶然、いや運命は!!」


和「俺も驚いてる。 まさかここで澪さんに会えるなんて。」


澪「私も驚きましたがその、嬉しい、です、、、」


 顔真っ赤でデレる澪さんがカワイスギ


和「ッ! お、俺も嬉しいよ。」


澪「、、、」


和「、、、」


 暫く無言が続いた


澪「、、、その!」


 うわビックリ!


和「はい何でしょうか!」


澪「お、驚かせてしまってすみません、、、そろそろ暗くなりますし、帰りませんか?」


和「そ、そうだね。 日が暮れちゃたらダメだしね。」


 、、、そうして、ぎこちない雰囲気で家に帰った


 唯一失敗したことは、一緒に歩いてるところをよりにもよって手伝い中の爺ちゃんに見つかったことだ


 気づいた時にはもう遅く、家の中に駆け込み婆ちゃんに報告し、挙げ句の果てには如月家まで訪問していった


 こういう経緯で両家に情報が広まり、何故か全員が集まって夕食を食べることになったのだ



 

??「楽しくしてくれとるかい?」


和「はい。 美味しい料理をありがとうございます、早苗さん。」


 この方は楓さんのお母様、つまり澪さんの祖母に当たる如月早苗さん


 出来るだけ標準語に合わせようとしてくれているが、割と方言が出てきている


早「いんや、智子さんも手伝ってくれたんば、こちらも楽しくしとったわ。」


和「いえ、頂いた牡蠣があってこそです。」


早「謙虚な子やねぇ。 澪ちゃんは昔から大人しゅうしとったけん、もっと強く行っても良いんよ?」


澪「お婆ちゃん恥ずかしいから止めて!」


早「何を言うとん。 ウチに着くなり彼氏のコレコレがカッコいいの〜って惚気とったやろ? ウチも旦那を思い出すわぁ。」


澪「お婆ちゃん!」


和「その、不躾な質問かと思われますが、旦那さんは、、、」


早「3年前に仏さんとこにね、、、後で挨拶だけでもしてくれるかい? あの人も澪ちゃんのことを可愛がったったけんね。」


和「はい、喜んで。」


 、、、3年前、か


 まだ苦しいはずなのに、早苗さんも強い人だ


和「それで、旦那様のお名前は、、、」


早「あ、名前は國男。 昔の字体のクニと、男でオやね。」


和「では、夕食後に國男さんへご挨拶させていただきます。」


早「そうしてくれると助かるわぁ。」


澪「むぅ、私のことは無視ですか!?」


 ずっと隣りにいた彼女がむくれてる


 超可愛いんだけど、この人


和「ごめんね。 そうだ、國男さんにご挨拶するとき、一緒に居てくれる?」


澪「しょうがないですね、付き合ってあげます!」


 ドヤ顔の彼女もカワイイ


和「ありがとね。」



早「、、、この子がこんなに笑顔になるなんて、最高の恋人同士やんねぇ。」






秀「うぅ、、、もう離して、、、」


楓「だ〜め♡ 今日はとことん付き合ってもらうわよ?」


秀「でもそれで何杯目だい?」


楓「さぁ? 十杯目、だったかしら?」


秀「酒に強いのは相変わらずだね、、、」


楓「七海さんもまだまだ飲める?」


七「えぇ、全然余裕です。」


楓「フフ、なら軽く勝負といきませんか?」


七「面白そうですね。 是非やらせてください。」


秀「もう飲めないよ〜、、、ウップ、、、」



 國男さんのところへ向かう途中、秀和さんが母さんと楓さんの餌食になっているのを見た


 ご愁傷様です、、、


 っていうか楓さんお酒に強すぎだろ


 成人した時にお祝いの席でたくさん飲まされる未来が見えた


 まぁでも、母さんもお酒にかなり強いし、俺も強いんじゃないかな?


 飲んでみないことには分からないが、そうだと嬉しい


 、、、この流れだと、澪さんもかなり強いことになるのだが、、、


澪「どうしましたか?」


和「いや、何でも無いよ。 それで、この部屋の中?」


澪「はい、ここの和室ですね。 そしてこれがお供え用の花とお酒ですね。」


和「ありがとう。」


 俺は部屋に入り仏壇に近づく


 父さんので慣れてるし、スムーズにご挨拶できた


和「、、、必ず、お孫さんを幸せにします。」


 退出するとき、俺なりの決意を言ったその時だった


 締め切った部屋のはずなのに風が吹き、お線香の煙が少し揺れた


 これは國男さんなりの応援メッセージだと、そう思いたい










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