第39話 デートに着る服って悩むよね?

 澪さんとデートに行くことが決まったことは良いものの、デート用の服とか持ってないんだよなぁ、、、


 だってモテない俺が初デートだぞ?


 母さんに買ってもらったデニムとTシャツぐらいしか無い


 、、、澪さんに相談してみよう





和「ということで澪さん、先に服を買いに行きたいんだけど、いいかな?」


澪「構いませんよ。 勿論その服でも和樹くんは十分カッコいいですけど。」


和「そんな事無い! ショッピングモールの人たちはもっとカッコいい服着てるんだろうなぁ、、、」


澪「和樹くん、自身を持ってください! 元がいいのでシンプルな服でもとっても似合ってますから!」


和「つまり俺は無色な人間ってことか、、、」


 ダメだ、どうしてもネガティブにしか考えられない



澪「、、、もう! なら私がカッコいい服を選んであげますよ。」


和「、、、、、ホント?」


澪「はい。 和樹くんの良さが一番輝く服を選びますので、元気を出してください。」


和「なら良いか、、、」


澪「では私は着替えてくるので、終わったら行くのでよろしいですか?」


和「分かった。」



 そうして待つこと約25分


 、、、女性ってデートの準備も大変なんだなぁ


 覚えておこう



澪「お待たせしました。 では行きましょう。 まずは服屋ですね、、、って和樹くん、どうしたんですか? しゃがんでいるってことは体調が悪いんですか?」


和「ちょ、ちょっと待ってて、澪さんの私服が可愛すぎて胸が苦しいだけだから。」



 そう、皆さんのご想像の通り澪さんはファッションセンスも完璧だった



 ボトムスは淡い空色のロングスカート


 澪さんの長い脚に合っている


 トップスは長袖のゆったりした服に、春に似合った可愛らしい色のカーディガンを羽織っていて、少し大人っぽさを感じさせている


 中学生があまり着る服ではないのかも知れないけれど、澪さんが着ても違和感が全く無い


 そもそも澪さんは可愛さも美しさも兼ね備えた顔立ちをしているから基本的にどんな服でも似合うのに、ファッションセンスも光ってるから直視できない


 メデューサかよ、、、



澪「そ、そうですか、、、ありがとうございます。 頑張って選んだ甲斐がありましたね。」


 澪さんが照れてる、、、是非見たいのに澪さんが可愛すぎて見れない!




 3分くらいしたら目が慣れてきて、やっと出発することができた


和「それで、何処の服屋に行くの?」


澪「はい。 隣町に行く予定なので、駅の近くにある服屋へ向かおうと思います。」


和「良いね。 じゃあ、まず駅に向かおう。」





 、、、、、、駅に向かう途中で気づいたけど、澪さんがめっちゃ視線を集めてる


 まぁそりゃそうだよな


 だって隣で歩いてる澪さんが芸能人みたいに綺麗なんだもん


 なんなら俺もある意味視線集めてんだよなぁ


 『なんだぁ、あいつ?』って目だけど、、、



和「なんか、、、凄い見られてるね、、、」


澪「気にしないようにしましょう。 和樹くんがカッコいいのでつい見てしまうのは分かりますが、、、」


 いやいやいや! 違うからね!?


 視線集めてんのは澪さんの方だから!!


 、、、そう言おうとしたらちょうど駅に着いた


 、、、まぁ良いか、、、



澪「あ、着きました。 ここが私がよく服を買っている店舗です。」


 どんな高級な店かなって思ってたら、意外と普通だった


 、、、なるほど。 コレが澪さんの言ってた『元が良い』ってやつか


 澪さんならどんな服屋のどんな服でも似合っちゃうんだろうなぁ



 俺たちは店内に入り、早速30代くらいの店員さんが寄ってきた


店員「あら、澪ちゃん。 お久しぶりね。」


澪「お久しぶりです、恭子さん。」


 『恭子さん』と呼ばれた店員さんは、どうも澪さんの顔なじみらしい



恭「あれ? そちらにいるのは彼氏くんかな?」


澪「はい、、、、、」


 澪さんが照れながら肯定してくれた、、、彼女が彼氏って認めてくれるのってなんか良いよね、、、


和「は、はい。 澪さんと交際させていただいています、汐入和樹です。」


恭「よろしくね、和樹くん。 私は如月恭子。 澪ちゃんのお母さんの妹よ。」


和「楓さんの!?」


恭「あら、楓のこと知ってたのね。 もうご両親にご挨拶なんて、情熱的ね〜。」



 恭子さんは楓さんの妹で、澪さんの叔母に当たる人だ


 話によると、楓さんの元の名字は『如月』で、秀和さんと結婚した時に名字を変えて『三条』にしたらしい


 またこの店は恭子さんが経営していて、澪さんは昔からお世話になってたのだとか


 あと、やっぱりノリがなんとなく楓さんに似てる気がするな、、、



恭「それで、今日も服を買いに来たのかしら。」


澪「あ、いえ。 今日は和樹くんの服を買いに、、、」


恭「え? そのままでも十分かっこいいと思うけど、、、」


澪「それが、納得いかないらしいので私が選んであげることにしたんです。」


 それを聞いた途端、恭子さんがニヤッと笑い、


恭「それは聞き捨てなりませんなぁ〜。 本職の私を差し置いて? 澪ちゃんが選ぶ?」


 そう言って俺の方に近づいてくる


 、、、ちょっと顔が近くないですかね


恭「ねぇ、和樹くん。 澪ちゃんより経験豊富な私の方が良いと思わない?」


和・澪「「え?」」



 澪さんがいきなり慌て始める


澪「ま、待ってください! 和樹くんの服を選ぶのは私です!」


恭「いやいや、澪ちゃんもセンスあるけど私の方が上だと思うけどなぁ。」


澪「そ、そんな、、、、、なら勝負です、恭子さん! どちらが和樹くんを納得させる服を選べるのか!」


恭「ほう、、、、いいじゃない。 受けてあげる。」




 こうして、俺が入る間もなく着せ替え大会が始まったのだった、、、



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