第35話 彼女から相談されるのって、良いよね?
楓「どう? 美味しい?」
和「はい、美味しいです。」
楓「ありがと。 まだあるから、おかわり欲しくなったら言ってね。」
澪さんもお風呂から上がり、夕食の時間になった
これまた美味しそうな料理が出てきたが、ゆっくり味わう暇はなかった
なぜなら、直前の秀和さんとの会話が耳に残っていたからだ
澪さんの雰囲気から、俺のことを真剣に考えて悩んでくれているのは察した
でも、俺はそれにどうやって応えられるだろう?
助けるとは意気込んだものの、完璧な澪さんへ手伝えることなんて無い
邪魔して怒らせて関係が終わるのがオチだ
、、、、、、、、、話を聞くだけなら、できるかも
話すだけでも楽になることがあるかも知れない
実際に、俺は母さんに話すことを恐れてそのまま放置し、結果ネガティブをこじらせた
澪さんにはこんな風になってほしくない
思い立ったが幸、澪さんの部屋に向かった
和「澪さん、今いいかな?」
澪「えぇ、構いませんよ。」
澪さんは何か考え事をしていたようだ
勉強机に座って、ノートに何かをメモしていたし
和「急にゴメンね。 でも、今すぐに話したいことがあるんだ。」
澪「そうですか、、、私も話したいことがありました。」
和「そうなんだ、どっちが先に話す?」
澪「和樹くんからどうぞ。 先に提案されましたし。」
和「じゃあお先に、、、、、、澪さん、最近なにか悩んでいますよね。」
澪さんは少し驚き、表情を硬くして
澪「やはりバレていましたか、、、隠し事はいけませんね。」
と言った
和「そりゃわかるよ、、、俺で良かったら、話してくれませんか。 話すだけでも、楽になることがあるので。」
俺の言葉を聞き、澪さんは頬を赤らめさせた
澪「ありがとうございます。 実は私の話というのも、和樹くんに相談させていただくことだったんです。」
和「そうなんだ、、、同じこと考えてたなんて、少し恥ずかしいね。」
澪「いえ、恋人と同じことを考えるのは良いことだと思いますよ。」
うん、、、ここがおかしい
和「、、、、、、澪さんって、前より恋人って言葉よく使うよね。 なんかあったとしか思えないんだけど。 、、、ねぇ、俺の母さんと何話してたの?」
澪「、、、実はーー」
それから澪さんはいろんな事を話してくれた
父さんの事情、母さんの心情、澪さんが母さんからの信頼を得ようとしていること
そして、そのために『汐入和樹に信頼され、三条澪が信頼する恋人関係を作るために悩んでいた』ことーー
和「、、、、、ごめんね、そんな事情があったなんて。」
澪「いえ、、、一人で抱え込んでいたこちらに責があります。」
和「うん、でも、少しは軽くなった?」
澪「はい。 人に話すことで楽になるというのは本当だったんですね。」
和「よかった、、、でも、ここで言わせてほしい。」
しっかり目を見つめて伝える
和「俺は澪さんをとっっても信頼しているよ。 澪さんがいなかったら、もっと暗い人間になってたかもしれない。 こんな自分をなぐさめて元気づけてくれてから、もう澪さんしか見ていない。」
澪さんは可愛く笑いながら、
澪「和樹くんは不思議ですね。 他のことでは時々つらそうな顔をするのに、私と話すときだけこんなにも堂々としているんですから。」
和「それも澪さんを信頼しているからだよ。 澪さんを好きな気持ちがネガティブを大きく上回ったってことかな。」
澪「も、もうこれ以上は、、、」
澪さんは恥ずかしながら、慌てて俺の話を止める
あれ? そんなに変なこと言ったかな?
澪「言ったそばから、、、和樹くんは強すぎです、、、」
強い? やっぱり意味がわからない
澪さんは少し深呼吸して、一気に言った
澪「和樹くん、私もあなたをとても信頼しています。 好きです。 これからも一緒に居たいです。 もっともっと仲良くなりたいです。 重い女かも知れないですが、こんな私も好きになって欲しいです。 キスしたいです。 なんならーー」
和「ちょ、ちょっとストップ! なんかヤバいことまで話そうとしてるけど!?」
自分が言おうとしていたことを理解したのか、顔が真っ赤になった
このままでは、フェアじゃないな
澪さんが落ち着いた後、俺も想いを伝える
和「澪さん、好きです。 優しいところも、可愛いところも、勉強も運動もできるところも、誰かの心に寄り添えるところも。 もっと話したい、もっと触れ合いたい、キスしたい!」
澪「じゃあ、キス、しますか?」
和「え!?」
澪「私も和樹くんもキスしたいなら、いいんじゃないでしょうか、、、」
和「そう、だね、、、しようか?」
澪「、、、、、はい。」
俺たちはゆっくり顔を近づける
近づけば、澪さんの顔がよく見える
長いまつ毛、パッチリした目、柔らかそうな唇ーー
こうして、俺と澪さんは初めてのキスをした
、、、、、初めてのキスは、溶けそうなくらいに蕩けそうなくらいに、気持ちよかった
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