第34話 彼女の家でくつろごうとするのって厳しいよね?

澪「落ち着きましたか?」


和「はい、、、すみません、お騒がせしました。」


秀「いや、君が謝ることじゃない。 誰にも触れられたくないことがはある。 恥じることじゃないよ。」


楓「そうよ、さっきも言ったけど、いつだって頼ってもらっていいの。」


和「、、、ありがとうございます。」




 俺は膝から崩れ落ちて泣いた後、三条家の皆さんになぐさめてもらっていた


 まさか俺が『両親』にこんなにも弱かったなんて知らなかった



楓「ささ、落ち着いたらお風呂に入りましょ。 お湯はもう沸かせてあるわ。」


和「お世話になります、、、」


 そっか、、、本当にこれからここにお世話になるんだな


 まだ少し緊張するけど、こんなにいい人たちと一緒なら安心できるし、寧ろできるだけ永く居たいなんて考えてる



 そんな事を考えながらお風呂に浸かる


 ふぃ〜、、、、、、お風呂は考え事するのに良い場所だ


 まぁ自分がネガティブになったのもお風呂の中だったんだけどね



 お風呂から上がり、頭をタオルで拭きながらリビングへ向かう


 リビングでは皆さん全員がくつろいでいた


 、、、俺なんかが交ざってもいいのかな、、、


 家に来てそうそうに泣いてしまったし、、、



 まぁそんな事考えてたら澪さんが俺を察知するわけで、、、


澪「あ、お風呂から上がりましたね。」


和「一番風呂、いただきました。」


澪「、、、まだ髪が濡れてます。 ちょっと貸してください。」


 そう言って俺からタオルを奪い取る


 そのままソファーに座らせ、澪さんが後ろに立って俺の髪を拭いてくれる


澪「きちんと拭かないと、、、髪が傷んでしまいますよ。 後でドライヤーもかけてあげます。」


和「、、、なんかお母さんみたいだね。」


澪「違います。 私は和樹くんの彼女です。」


 即答だった


和「ハッキリ言うね、、、」


澪「当然です。 それに、ここで和樹くんともっと親密にならなければなりません。」


 、、、『ならなければならない』?



秀「お、澪は覚悟を決めたみたいだ。」


楓「和樹くんも負けちゃ駄目よ。 澪はカウンターに弱いから、逆にもっと攻めてみましょう。」


澪「お母さん、お父さん! ちょっと黙っててください!」




 ハハハ。 面白いな、この御家族は


 これが『両親』のいる家族なんだな


 まだ完璧には慣れてないけど、これからどんどん慣れていこう


 そんなことを思いながらお菓子を食べた。 うん、美味しい


 


澪「それじゃあ、次にお風呂に入りさせてもらいます。」


和「澪さんも今日は疲れたでしょ。 ゆっくり休んでね。」


澪「ありがとうございます。 ではお言葉に甘えて。」


 そう言って澪さんは風呂場へ行った


楓「それじゃ、私は晩御飯を作るわね。」


 楓さんはダイニングへ行き、俺と秀和さんが残った




秀「澪は何かを決めた目をしていたね、、、」


和「はい、、、」


 それは俺でも気づいた


 今日の澪さんは覚悟をしていた


秀「澪と和樹くんのお母さんが何を話したのか聞いてなかったのかい?」


和「はい、、、自分の部屋へと追い出されてしまって。」


秀「そうかい、、、何を話していたとしても、和樹くんが支えてあげてね。」


和「そんな、俺なんかがーー」



 ーー俺なんかが、支えられるのか? あの澪さんを



秀「そんなことはない。 澪は君を信頼している。 私達は何をしても『親』としてでしか助けられないが、君なら『恋人』として支えられる。」


和「、、、そうですね。」


 そうだ、俺が澪さんの彼氏なんだ


 『俺なんか』なんて考えてる場合じゃない



 俺を信じてくれる澪さんを、俺が信頼してる澪さんを、支えるんだ



秀「君も覚悟を決めたみたいだね、、、これ以上は大人が入るべきじゃないな。 ただ、じっくり考えて、それでも困ったときは頼りなさい。」


 秀和さんはリビングを離れて、自室へ向かった


 一人残された俺は熟考する




 俺がこれから何をすべきなのか、澪さんのために何ができるのかを


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