#18 帰り道




 更に1時間程経った頃、ソウジくんが目を覚ました。


「す、すみません・・・寝てしまいました」


『昨日、私のせいで遅くまで夜更かししてたし、今日だって歩いて来たから疲れて眠くなるのは仕方ないよ』

『それよりも、体冷やして風邪ひいたりとか大丈夫?』


「それは大丈夫です。 はぁ・・・人前でうたた寝とかほとんどしたこと無いんですが、失敗しました」


 ソウジくんが弱音を零す姿を見たことが無かったので、思わず笑ってしまった。


『ふふふ、大丈夫だよ。 ソウジくん、しっかりし過ぎだから、たまにはこれくらい気を抜いた方がいいと思うよ?』


「そうですか。参考にします」


『ところで、この後どうする? まだ居てもいいけど、また歩いて帰ること考えるとそろそろ帰った方が良いと思うし』


「そうですね。 その本は借りて行きますか?」


『ああ、そうだった。 ここで借りると、返却しに来るのが面倒だから、学校の図書室で借りたいんだけど、学校だと無いかな?』


「あ、それなら大丈夫です。 学校の図書室にも同じ文庫本がありましたから」


『なら、明日にでも早速図書室行ってみるね』


「はい、それが良いと思います」




 読んでた本を元の棚に戻して、お手洗いを済ませてから、来た道をまた歩いて帰った。



『久しぶりに図書館に来たけど、楽しかったです。 でも、歩いてくるのは、夏の間は止めた方がいいね』


「そうですね。流石に今日くらい暑いとしんどいですね。 これからもっと暑くなりそうですし」


『そうだ、今度は図書館の代わりにプールに行かない? 夏休みに入ったら市民プールとか近所の小学校のプール解放とか』


「はい、大丈夫です。 でも、体育の授業で使ってる水着しか持ってないですが、いいですか?」


『私もだから、学校の水着で十分だよ』


「そうですか。なら、そうします」



 また、ソウジくんとお出かけする約束が出来た。

 ソウジくんとは、買い物とか遠出して遊びに行くよりも、近所でお金かけずにゆっくりお喋りでもしながら遊びたいと思うから、これからも色々行けるかな。





 家の近くの公園まで来ると、ソウジくんが

「僕はしらばく公園で時間潰しますね。 同じ時間に帰ると何か言われる可能性ありますから」


『だったら、ソウジくんから先で良いよ。 私のせいで昨日から疲れてるでしょ?』


「大丈夫です。気にせずアミさん先に帰って下さい」


『う~ん、じゃぁそうするね。 ごめんね。色々無理に付き合わせたのに』


「いえ、本当に気にせずに。 今日はおにぎり、ありがとうございました。 それに今日は楽しかったです」


『私こそ、ありがとうね。今日はゆっくり休んでね』


「はい」


 そこでソウジくんに手を振って、お別れした。

 ソウジくんも手を振り返してくれたのが嬉しくて、何度も後ろを振り返りながら手を振った。


 家に帰るとママが居たけど、特に何も言われなかった。


 部屋に荷物を置いて、すぐにシャワーを浴び、疲れていたので部屋でゴロゴロしていたらいつの間にか寝てしまい、夕食の時にようやく起きた。



 夕食後、宿題がまだ手つかずだった事に気が付き、本当はソウジくんの部屋に行って助けて貰いたかったけど、流石にママの目があるので、今日は一人で泣きそうになりながら何とか片付けた。


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